今日の映画 – 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(Lo chiamavano Jeeg Robot)

Lo chiamavano Jeeg Robot

映画レビュー

「鋼鉄ジーグ」という永井豪のSFロボットアニメは日本で放映されたときに全くみていなかったし、永井豪の作品の中では目立たない方だった。なので、物語の背景、大筋、主要キャラクターについての知識ゼロ。映画館に行く前に、ウィキペディアでサラッと予習してから観に行った。たしかに「鋼鉄ジーグ」を下敷きにしているが、予備知識なくても大丈夫。

日本のサブカルチャーに影響を受けた監督がオタクを貫いて作った映画としては、「マジカル・ガール」を連想させる。マジカル・ガールは登場人物に相当シュールな人を揃えていたが、そのオタクワールドの中でリアルな演出をしていたのに対して、この映画では、主人公がひょんなことから超人パワーを手に入れるというSFベースにしてしまったところが違う。

そうなると、最近のアメリカ映画で主要分野の1つになっているアメコミの映画化との対比で見ると面白い。マーベル、DCともに潤沢な制作予算でCG使い放題の大作主義のアメコミ映画に対して、この映画は一部特撮らしき部分もあるが、手作り感満載。

出演者を、例えば、主人公のエンツォ~スパイダーマン、相方のアレッシア~ロイス・レイン、敵役のジンガロ~ジョーカー、のように比較してみるとこの映画でのイタリア俳優陣のラテンならではの「濃い」さ加減が際立つ。

クラウディオ・サンタマリアはほとんど無名の監督。キャストも主演のエンツオ役のクラウディオ・サンタマリアが多少の出演実績があるくらいで、その他の役者は無名と言ってよいくらい。

その中で、ジンガロ役のルカ・マリネッリの気持ち悪さはかなりものもん。素顔はシュッとした男前やねん。次に見る機会はなかなかないかも知れんけど、このアクの強さはなんか期待させる。

ここ数年で商業的に成功している映画の製作国、監督、俳優は圧倒的にアメリカ+イギリスが強いと思う。そういう潮流のなかで、この映画は”売れる”映画の方程式に従って各映画の特色が薄まっていることに対する、ヨーロッパからのささやかなアンチテーゼにも思える。そして、その際に、アメコミではなく日本のアニメが使われたことがなんかうれしい。

あと、エンドロールで流れる鋼鉄ジーグの主題歌はイタリア語の歌詞でバラード調に編曲されているが、歌っているのは主演のクラウディオ・サンタマリア、演奏のギターは監督のガブリエーレ・マイネッティ。この手作り感、泣かせるやん。

予告編

 

 

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