今日の映画 – ノー・エスケープ 自由への国境(Desierto)

「ノー・エスケープ 自由への国境」のポスター

映画レビュー

メキシコからアメリカへ不法入国しようとする一団が正体不明の殺人者に狙われるサバイバル・スリラー。映画の宣伝ではやたら「『ゼロ・グラビティ』のスタッフが・・・」の文言がクローズ・アップされているが、この映画の監督ホナス・キュアロンはゼロ・グラビティの監督アルフォンソ・キュアロンの息子で、「ゼロ・グラビティ」では父親との共同脚本に名を連ねている。そのお返しという訳でもないだろうが、この映画の製作に父親が参加している。

ストーリーは至ってシンプル。アメリカへの密入国を請け負った2人が運転する十数人を乗せたトラックが故障~予定のルートを変更して徒歩で国境を越える~いきなり長距離の狙撃で大半が殺される~生き残った数人が逃げる~追跡されてだんだんと減っていく~必死の反撃~結末、という流れ。

最初の大量殺戮の後は着の身着のまま逃げる数人を強力な武器を持った殺人者が追うというスリリングな場面が続く。観ていてどきどきするところではあるが、逃げる面々を見ていれば、誰が死にそうで誰が生き残りそうかはなんとなく想像できて、その想像通りになる。反撃の方法も途中で使える道具を見せてくれるので予想の範囲内。

と言ってしまうとつまらない映画のように聞こえるかもしれないが、緊迫感が途切れること無く最後まで引っ張っていく。ひとつには、平坦な砂漠のような土地、ごつごつとした岩場、サボテンが生えている荒野などバリエーションに富んだ地形を逃亡・追跡の舞台にうまく利用していること。そして、最大の功績者は殺人者が連れている大型の犬。この犬はその名トラッカー(追跡者)として優秀で、獲物の臭いを嗅ぎ分け、ルートを選んで追跡し、人間でも倒してしまうくらい凶暴。

主演の、ガエル・ガルシア・ベルナルはメキシコの俳優。日本で公開されたのは「モーターサイクル・ダイアリーズ」でのチェ・ゲバラ役くらい。追う側のジェフリー・ディーン・モーガンは「ウォーキング・デッド」などテレビドラマへの出演が多く、映画出演は多くない。「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」でバットマンの父親役で出ていたらしいが記憶に残っていない。この映画では昼間からジャック・ダニエルをラッパ飲みするのでぐうたらな親父かと思ったら、射撃の腕は抜群で、素手で岩登りするし、逃げる標的を延々追いかけるタフな殺人者という意外性がなかなか良かった。

不気味な追跡者に命を狙われる映画となると、ステーヴン・スピルバーグ監督、デニス・ウィーバー主演の「激突!」を連想するが、「激突!」では最後まで追跡者の顔を見せないところが違う。この映画も、ジェフリー・ディーン・モーガンの視点(+犬の視点)で撮れば、また面白い映画になったかもしれない。

予告編

2017年に観た映画

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