映画レビュー
原作はオルコットの小説「若草物語」。1949年に巨匠マーヴィン・ルロイ監督で映画化されているので70年ぶりのリメイク。ちなみに1949年版の4姉妹の出演者は、長女メグ/ジャネット・リー、次女ジョー/ジューン・アリソン、3女ベス/マーガレット・オブライエン、4女エイミー/エリザベス・テイラーという超豪華版。
本作の主演ジョー役はシアーシャ・ローナン。グレタ・ガーウィグ監督とのコンビは「レディー・バード」に次いで2作目。「ブルックリン」はいまいちだったが、「レディー・バード」以降、「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」を経て良い俳優になったという印象。
メグ役のエマ・ワトソンは悪くはないのだが、ハーマイオニーの印象が強すぎて4人姉妹の長女という感じがしないのが難点。まあ、あまり重点を置かれていない役なので仕方ないけれども。
一番影の薄いベス役のエリザ・スカンレンは知らない女優。重要な役ではないが、前作ではマーガレット・オブライエンを充てていたのに比べると弱いという感じは否めない。
意外と良かったのは4女のエイミー役のフローレンス・ピュー。出演作は少ないが、4姉妹の中でジョーの対局に居る位置づけとなる大事な役で存在感があった。この映画でもアカデミー助演女優賞にノミネートされている。
母親役のローラ・ダーンは、最近では「マリッジ・ストーリー」でいやな離婚弁護士をやっていたし、少し前は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」でいまいちな将校をやったりとかして健在。この人も「ブルー・ベルベット」の印象が付いてまわるけど。
従軍していて途中まで姿を現さなかった父親が出てきたときに俳優がテレビドラマ「ブレイキング・バッド」、「ベター・コール・ソウル」のソウル・グッドマン役のボブ・オデンカークだったのでちょっとびっくり。
金持ちのおばさん役のメリル・ストリープはもう貫禄だけで十分。「ダウントン・アビー」でのマギー・スミスを連想させる辛辣なセリフがなかなかよろしい。
映画は原作から大きく離れていないが、時系列で語られるのではなく、4姉妹の少女時代と7年後のそれぞれの道を歩み始める頃とを行ったり来たりする構成。映画の初めは登場人物を覚えなければならないので大変だったが、慣れてみれば悪くない。
舞台が19世紀後半のアメリカ東海岸なので、衣装や室内の装飾に手を掛けている様子。途中、フランスのシーンも挿入されるが、映像が絵画的で綺麗だと思った。
予告編