今日の映画 – ふたりの女王 メアリーとエリザベス(Mary Queen of Scots)

Mary Queen of Scots

映画レビュー

映画を見終わってからこの映画の舞台となった16世紀のイギリスの歴史を読んでみたが、国と国との関係、王族の婚姻、宗教などが入り組んでかなりややこしい。2時間という限られた時間の中で、不要な部分を省略しつつ重要な部分はかなり忠実に描いていたことが分かった。

映画には出てこないがイングランドのヘンリー8世という国王が男の跡継ぎを産まない王妃キャサリンを見限って愛人アンと再婚したいとローマ教皇に要請したが受け入れられず、それがきっかけでイングランド国教会を立ち上げることになる。映画ではカソリックとプロテスタントの対立が描かれるがその起源がここにある。イングランドの女王になるエリザベスはアンが産んだ娘。嫡出子と庶子との取り扱われ方の違いは日本でもあるが、当時のイギリスでは天と地の差があったことは映画で改めて知ったが、エリザベスは出生の所以でイングランド女王の正当性に弱みがあったということ。宗教はすでにイングランドでは主流になっていたプロテスタント。

一方のメアリーはヘンリー8世の姉の孫で、こちらは正当な結婚で生まれているので半ば亡命のようにフランスに渡っていてもスコットランド女王だけでなくイングランド女王の継承権を持っていたというので話がきな臭くなってくる。おまけに、フランス育ちなので宗教はカソリック。ちなみに、メアリーには異母兄が居て、映画の中でスコットランドに帰ってきた妹を迎えるが、こちらは庶子。父親が同じなのに庶子というだけでメアリーからはまるで臣下のように扱われる。

映画の冒頭はエリザベスとメアリーを対比するように描かれるが、中盤からはもっぱらメアリーの物語になる。映画のタイトルも原題は、「Mary Queen of Scots」。メアリーはスコットランドに戻ってきて王位に付いたものの、国力はイングランドに及ばず、周りの貴族はプロテスタント。カソリックの女王を歓迎しない貴族の陰謀を巡らせ、それをイングランドが裏から支援するなど困難な環境にもかかわらず、持ち前の才能を発揮して君臨していく。主演のシアーシャ・ローナンは「ブルックリン」ではどうかなと思ったが「レディ・バード」がなかなか良かった。この映画でもメアリー役を好演。古典的な役柄をうまく役作りしていながら、何かの折の一瞬現代的な雰囲気を感じさせるのは「レディ・バード」の印象が強かったからかな?

一方のエリザベスを演じるマーゴット・ロビーは中盤はお休みして終盤にメアリーと対峙するクライマックスでの演技がなかなか良かった。映画では、エリザベスは当初はメアリーを自分の王位を脅かす脅威とみなし、かつ美貌と才能に嫉妬していたが、途中で「男として生きる」と割り切ってから違う人格になっていく。エリザベス女王の映画もいくつか作られているくらい興味深い女王であるが、この映画では脇役。

二人を比べてどちらが幸せだったのかと考えると、どっちもどっち。エリザベスは一生独身を通して天寿を全うしたが、メアリーは一旦はスコットランド女王として成功したものの、結婚を期に転落した。それでもその後のイングランドとスコットランドの国王は全てメアリーの子孫。まあ、今の世の平民が一番かな。

予告編

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