今日の映画 – スター・ウォーズ 最後のジェダイ(Star Wars: The Last Jedi)

Star Wars The Last Jedi

映画レビュー

スター・ウォーズの8作目、ルーカスフィルムがディズニーの傘下に入ってからの第2作。鑑賞後の感想は、前作「フォースの覚醒」でも感じたことだが、映像と音響がよく出来ているがストーリーの組み立てにちょっと引っかかるところあり。

今回も追加料金を払ってIMAXの劇場で観たが、同じIMAXでも劇場設備によって観た感じが違うようで前作を観た109シネマズ大阪エキスポシティと比べて今回のTOHOシネマズ新宿のIMAXスクリーンはサイズが小さく上下の幅が広がる部分もなかった。通常スクリーンよりは大画面で高精細度ではあるが、映写設備での迫力はやや劣る。

アクションシーンの画面の作り方はJJ・エイブラムスが関わるようになってから格段に良くなっていると思う。例えば、ポー・ダメロンが操縦するXウイングがスピンターンするようなダイナミックな動きは旧作ではなかったし、後半の惑星でスピーダーが地表の岩塩を削り取り真っ赤な土壌が煙のような軌跡となる絵の作りも秀逸。

反面、ストーリーに甘さが見られるのも前作譲り。

エピソード6で反乱軍がパルパティーンの帝国を倒してハッピーエンド。旧共和国を再興したはずだった。ところが、エピソード7ではいきなりファースト・オーダーが帝国に代わって強力な敵となっていて、その首領でダークサイドのフォースを使うスノーク最高指導者登場のいきさつの説明がなく、ストーリーの断絶にとまどいと違和感を感じたが、それは本作でも解消されなかった。

そのうえ、遠隔地からフォースを使うことさえできるスノーク最高指導者が、まだ駆け出しのレイとカイロにあっさり殺られてしまうというのもどうかなと思う。

共和国を再興したはずのレイアは依然反乱軍のリーダーのままで、その反乱軍は前作よりもさらに落ちぶれて本作のなかでもファースト・オーダーにやられっぱなし。撤退するところを追われて、最初あった爆撃機を含むそこそこの規模の艦隊が最後には小型の貨物船数隻と壊滅状態となって数万人いたはずの反乱軍の生き残りは数人になってしまう大敗北。この戦いの中でアクバー提督なども命を落としている。普通に考えれば、レイアの作戦ミスであり、敵の大型艦1隻を攻撃するために味方に大損害を与える原因を作ったポーの責任も大きいが、2人とも戦犯どころか生き残ってシラッしている。

前作で最後に一瞬しか出てこなかったルークは今回は重要な役で登場するが、なんか煮えきらずにイライラさせられる。そもそも、父親のダース・ベイダー/アナキンをダークサイドから引き戻した実績があるのに、甥っ子の中でダークサイドが大きくなるのを止められず衝動的な行動に走るというのはジェダイ・マスターにふさわしくない。しかも、それが原因で隠遁生活を送ってジェダイは終わったとか愚痴っているのは引きこもりそのものやん。まあ、最後にちょっと名誉挽回の場面を作って伝説となったが。

旧作でルーク、レイア、ハンの3人はヒーローになった。ところがディズニーになった後、ハンを前作でつまらない死に方で失い、今度はルークとレイアをダメダメ人間に貶めた。これはスター・ウォーズのファンにとってはもやもやとしたところが残ってしまう。

ダメダメなのはスノーク最高指導者もそうだし、もっと主要な役割を果たすかと思われたキャプテン・ファズマは今作でもいいトコなし脇役、主演級のフィンもメインストーリーに絡まない。今までのスター・ウォーズの作りでは、本隊と離れて行動する別働隊は困難を乗り越えて目的を達成して本隊を助けることになっていたのに、フィンとポーの別働隊は作戦に失敗して終わっている。

こうしてみると、まともなのはレイだけ。前作でダメダメの権化だったカイロは多少名誉を挽回したもののひ弱さが残り、それ以外の主要キャラはダメダメのオンパレード。しかし、振り返ってみれば、盤石だったはずの共和国とジェダイ・オーダーをパルパティーン1人にしてやられたヨーダと共和国首脳もダメダメだったので、スター・ウォーズのダメダメの伝統を正しく継承しているともいえる。その元祖ダメダメのヨーダは本作でも霊体として現れて格好をつけるが、どうせ出るならもっと早く出てきて迷えるルークにアドバイスしてやれよと言いたくなる。

今回明らかになったことの一つは、レイの両親は普通の人たちでフォースの使い手ではなかったという事実。これは強いフォースを持つのはスカイウォーカー一族の専売特許ではないということ。さらにラストシーンで厩舎の世話係の少年が訓練を受けたこともないはずなのに、極自然に箒をフォースで引き寄せるところを見せることで、フォースを使える人材は宇宙に普遍的に存在すると示したのが次のエピソードへの布石かもしれない。今後継続してシリーズ作品を制作していくにあたり、スカイウォーカー一族の話はここで終わりにして、新たなヒーローを次々と登場させて引っ張っていこうというのがディズニーの戦略かなと思う。

1作目から見てきたシリーズで思い入れもあるので批判的な内容になったが、映画自体は嫌いではない。

予告編

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