新NISAの要点
2024年にNISAがリニューアルされて新しくなる。詳細には触れないが、ポイントは、
- つみたて投資枠(限定銘柄の投資信託のみ、120万円/年)と成長投資枠(日本株、米国株、ETF、投資信託、240万円/年)の両方を使える。
- 非課税限度額は、(120万円+240万円)✕ 5年 = 1,800万円。
- 無期限。
- 非課税枠で保有していた金融商品を売却すると翌年に枠が復活して再利用できる。
現行NISA(旧NISA)に比べて非課税枠が拡大し、無期限となるので使い勝手が良くなる。
これを利用しない手はないが、自分に合った投資とは何かを良く考えたうえで、先でぶれないように考えをまとめておく。
自分の年齢に折り合った新NISAの活用方法
時節柄新NISAに関するネット記事、雑誌、ムックの類が溢れているが、共通して書かれていることは適切な金融商品を長期保有、複利運用することによって資産を増やせるということ。中には、20年、30年保有することによる試算などを提示しているものもある。
若い人たちにとっては時間は味方であるが、既にリタイアした身では残念ながら時間は限られている。幸い、公的年金、個人年金と貯蓄を合わせれば当面の生活には困らないので、余裕資金をどう運用するかが知恵の絞りどころ。
まず、基本的な考え方として、
- 余裕資金のみを使う。
- 短期の資産の増減に一喜一憂しない。
新NISAの枠の使い方は、
- つみたて投資枠ではインデックスファンドに分散投資し、キャピタルゲインを狙う。
- 成長投資枠では国内の高配当株に分産投資し、配当利益を狙う。
既に保有している資産の扱い
- 旧NISA口座に保有している日本株(個別株)および米国(個別株、ETF)は旧NISAの期限が来るまではそのまま保有。
- 旧NISAの期限前に売却・利益確定し、継続保有したいものは新NISAの成長投資枠で買いなおす。
- 特定口座に保有している日本株のうち、利回りの良いものは売却・買い直しで新NISAの成長投資枠に移す。
- 特定口座に保有している日本株のうち、株主優待目的の銘柄はそのまま特定口座に置いておく。
- 特定口座に保有している米国個別株、ETFのうち、高配当のETFは売却・買い直しで新NISAの成長投資枠に移すが、急がない。
- 特定口座に保有している米国個別株、ETFの残りは、タイミングを見て売却・利益確定して新NISAへの投資原資に充てる。ただし、GLD ETFは特定口座で維持・積み増しを考える。
既存資産はSBI証券預りなので、新NISAも引き続きSBI証券で行く。
つみたて投資枠での投資計画
個人的には手数料の掛かる投資信託よりもETFの方が好み。とはいえ、つみたて投資枠で使えるのは限定的な投資信託に限られるので、その中から選ぶしかない。新NISAの解説や投資アドバイスの書物では、「全世界型一本で良い」、「年配者は低リスクのバランス型を組み込むべき」などいろいろと語られている。
自分としての方針は、
- 投資信託4本に同額分散投資(2.5万円✕5本=10万円/月)。インデックスファンド自体が分散投資だが、投資エリアを意識して分けたい。管理できる数はせいぜい4~5本でそれ以上増やさない。
- 1年間継続して組み替えるかどうかは先で考える。
- 候補銘柄(各25%)
- 0331418A 三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 89311199 SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・S&P500)
- 4317188 大和-iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
- 42311184 ピクテ-iTrustインド株式
- 選定理由: オルカンは無難なところでの保険的選定。しかし、ワールドワイドに分散投資という考えは美しいが、過去20年以上成長をリードしてきたのは米国で、ヨーロッパも新興国も結果として及ばなかった。なので、S&PとNASDAQに各25%を充てる。オルカンの内訳でも米国株の比率が高いので、米国重視となっている。新興国に分散投資しても足をひっぱる国がでてきて全体のパフォーマンスが上がらないという根拠の無い印象を持っているので、それならばインドに一点張りしようという考えでインド株式に25%。日経225連動のファンドを組み入れる考えもあったが、成長投資枠のかなりを日本株で埋めるので割愛した。
- SBI証券の新NISA積立は、日にちを選べるので1日を避けて毎月13日で設定。クレジットカードでの積立はポイントが付くが1日の買付となるし、付与率が0.5%だと年間6,000V-Pointでさほど魅力的でないので使わない。
- NASDAQは既に特定口座にETF(QQQ)を持っているので、非課税枠での投資信託買付分相当を利食い売りして資産を新NISAへ徐々に移す。
成長投資枠での投資計画
前述の通り、成長投資枠では成長を狙わず配当収入をコンスタントに手に入れることを目指す。毎年240万円投資すれば、5年後の投資総額は1,200万円。これが4%の配当を生み出せば48万円/年となる。年金の月額が4万円増えるようなもの。
銘柄選びは単に利回りが4%以上のものを選べば良いというものではなく、継続して配当を出せることが大事。また業績低迷で株価が下がれば見かけ上の利回りが上がるがキャピタルロスのリスクがあるし、配当の継続もおぼつかない。株価の大幅上昇を期待しない代わりに大幅下落のリスクを避けたいので選択は大型株メインとなる。
個別株選定の判断基準を決めておくと、
- 大型株。
- 利回り3%以上(できれば3,5%以上)。
- PER 12以下とPBR 1以下のいずれか(できれば両方)を満たす。
ただし、後述の「ダウの犬」による選定銘柄はこの限りではない。
既に特定口座に保有している日本の個別株で上記条件を満たすものが評価額で200万円程度ある。それらを売却・買い直しで新NISAの成長投資枠へ移すので、2024年の追加投資は40万円程度となる。
ダウの犬あるいは東証の犬
その40万円を埋める方法として考えているのがダウの犬。最近知ったのだが、30年以上前の古い投資手法で、
- ダウ工業株30種の中で配当利回りの良い10銘柄を選ぶ
- 10銘柄に均等に投資し、1年間放置
- 1年後にすべて売却し、新たに開始。あるいは銘柄を入れ替えて継続。
これを日本の市場に置き換えて東証の犬やその改良版として紹介している記事も多い。選定の母集団を何にするかで全く違ってくるが、TOPIX コア30の中から同様に選ぶとすると、12月28日の時点で配当利回りの良い10社は、次のようになる。
- 9434 ソフトバンク 4.9%
- 4502 武田薬品工業 4.6%
- 8411 みずほフィナンシャルグループ 4.2%
- 4503 アステラス製薬 4.2%
- 7267 本田技研工業 4.0%
- 8316 三井住友フィナンシャルグループ 3.9%
- 8766 東京海上ホールディングス 3.4%
- 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 3.4%
- 8031 三井物産 3.2%
- 8058 三菱商事 3.1%
このうち、三菱UFJフィナンシャル・グループと三菱商事は既に持っているので、それらを除いた8銘柄が一つの案となる。銘柄を絞ればリスク分散の効果も下がるが、利回りを追求するためさらに2つ減らして上位6銘柄としてみる。
40万円を6銘柄に等価投資するとすれば、12月28日時点での株数と金額はそれぞれ次のようになる。SBI証券では1株単位の取引ができるので、こういう自作のポートフォリオで手作りファンドのまねごとができる。
コード | 銘柄 | 株価 | 数量 | 金額 | 比率 |
9434 | ソフトバンク | 1,733 | 38 | 65,854 | 16.5% |
4502 | 武田薬品工業 | 4,010 | 17 | 68,170 | 17.0% |
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 2,375 | 28 | 66,500 | 16.6% |
4503 | アステラス製薬 | 1,679 | 40 | 67,160 | 16.8% |
7267 | 本田技研工業 | 1,448 | 46 | 66,608 | 16.7% |
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 6,801 | 10 | 68,010 | 17.0% |
合計 | 402,302 | 100.6% |
とりあえず、こんな感じでやってみようかと考えている。