今日の映画 – スノーデン(Snowden)

Snowden

映画レビュー

最初、この映画を観ないつもりだったが、公開後の評判が良いこと、監督がオリヴァー・ストーンということで観に行った。観ないつもりだった理由は、スノーデンの暴露以来まだ数年で時事性が強く、事件への評価が定まっていない段階で映画化するとなるとフィクションあるいはかなりバイアスの強い映画になるような気がしたから。なので、思い直して映画館へ行ったのは、監督がオリバー・ストーンだったということが大きい。

オリバー・ストーンは、「野蛮なやつら/SAVAGES」みたいな政治色がまったくない娯楽映画も監督しているが、過去の作品には社会派物、政界物が多い。そういうわけで、ドキュメンタリーでなくても、実際何があったのかを窺い知ることができるのかなと思った次第。

観終わってから色々と資料を読んでみると、オリバー・ストーンはロシア人が書いた「Time of the Octopus」という小説と「スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実」というドキュメンタリーの映画化権を取って原作としているが、自らロシアへ行ってスノーデンと3回会っているという。映画にはその他の資料も反映されているが、オリバー・ストーンもフィクションの部分も含まれていることを認めつつ、誠実に作ったと言っている。監督の言葉を信じれば、映画の内容は真実に割りと近いものかなと思う。少なくとも、スノーデンやその支持者から見て納得できる内容だろう、映画の最後には本人も出ているし。

一方、アメリカ政府、 NSA(アメリカ国家安全保障局)からするととんでもない映画ということになる。オリバー・ストーンが明かしているのは、映画の製作中はNSAの介入を避けるためにインターネットから遮断した世界で仕事をしていたという。たしかに、20年前なら世界中の電話や通信をだれかが傍受しているなんて技術的に無理で終わっていたことが、いまだと出来ないわけがないと思うくらい技術の進歩は速い。個人の情報が知らない間に検閲され不当な介入をされることを甘受することは自分の人権を失っていることだというのは説得力がある。

スノーデン役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットは顔はスノーデンに似ているとはいえないが、なんとなく雰囲気が似ていて良かった。「ガーディアン」の記者役のザッカリー・クイントはスタートレックシリーズのスポックで見ていたが、人間の格好で見るのは初めて、悪くない。あと、なぜかニコラス・ケイジがチョイ出演。その他は知らない俳優。

観終わって振り返ると、メッセージ性の強い映画で、その内容にも共感できる。’一方で映画そのものは、う~んというか、いまひとつ入り込めなかった。冒頭の香港でメディアの人たちと秘密裏に会って始まるシーンは良かったが、特殊部隊の訓練でしごかれたりする過去のシーンが多すぎてどうもいかん。後半は、NSAの組織の内部やハワイの地下基地など興味深いところが多かったが・・・

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2017年に観た映画

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