今日の映画 - ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(Once Upon a Time in Hollywood)

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映画レビュー

クエンティン・タランティーノの9作目。今度は満を持してハリウッドネタ。時代は1996年、シャロン・テートがカルト集団マンソン・ファミリーのメンバーに殺された年。

主演はレオナルド・デカプリオとブラッド・ピットのコンビでふたりともタランティーノの映画ではおなじみの面々。デカプリオが落ち目ながらもハリウッドのスターの役で、仕事が無いことを嘆いたり、情緒不安定なところを見せる。方やブラピはデカプリオの専属スタントマンという役。それがスタントの仕事だけでなく運転手としての送迎や、アンテナの修理など便利屋のようなことまで苦にせずやりながら、細かなことを気にせずサバサバ生きているようで見ていて格好よい。

ハリウッドなのでデカプリオが出演する映画の撮影シーンや、アル・パチーノ扮するプロデューサーとのやり取り、ブラピがブルース・リーのそっくりさんと対決するシーンなど映画絡みのネタが盛りだくさん。出演者も、マーゴット・ロビー、ダコタ・ファニング、ブルース・ダーンなどなど。実在の人を演じたなかでは、スティーブ・マックィーン役のダミアン・ルイスがそっくり。マーゴット・ロビーはハーレクインやトーニャ・ハーディングなど押し出しの強い悪女のイメージがあったのに、180度違うシャロン・テートを演るのは大したもの。

主演の二人の話と並行して、マンソン・ファミリーの話が不気味に進行していく。ブラピがたまたま街で拾って送ってやったヒッピーの女性がマンソン・ファミリーのメンバーで、送った先で揉め事が起こったことに加え。デカプリオの屋敷の隣に引っ越してきたのがロマン・ポランスキーとシャロン・テート夫婦だったということで絡んでくる。

シャロン・テート事件のことは事実として知っているので、タランティーノお得意の血だらけのシーンの中でシャロン・テートが殺られて行く悲惨な結末を想定していたが、見事に裏切られた。マンソン・ファミリーの連中が間抜けていたのに加え、マッチョなブラピやナチの映画で使った火炎放射器などの伏線が効いて痛快な結末になっている。

この時代のハリウッドは男中心の世界で女性は映画に華を添える綺麗どころの役割。シドニー・ポワチエの「招かれざる客」の公開が2年前の1967年なので出演者はほぼ白人。男も女もやたらタバコを吸いまくる。「むかし、むかし、ハリウッドで・・・」というタイトルは、昔を良しとする訳ではないが、今の「Me Too」などのジェンダーや人種の不公平を糾弾する動きに対するタランティーノ流の皮肉が込められているように思える。

予告編

2019年に観た映画

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