今日の映画 – マネーモンスター（Money Monster）

今年3本前に観た「ヘイル・シーザー！」に続いてジョージ・クルーニー主演の映画。

投資情報の提供するテレビ番組のディレクター役がジュリア・ロバーツ、その番組の司会者役がジョージ・クルーニー。この番組が紹介した株の運用でなけなしの財産を失った若者が撮影現場に潜入してジョージ・クルーニーを人質にして立てこもるという話の展開。

ジョージ・クルーニーは口は達者ではあるが、どこか軽薄でいかがわしい司会者で人質になってしまう間抜けた三枚目役をやらせると絶妙。30過ぎでテレビドラマ「ER」でブレイクするまで陽の目を見ずに苦労した経歴のためなのか、二枚目役にこだわらずに出演を重ねているうちにダメ人間役も板についてきたという感じ。

ジュリア・ロバーツが頭脳明晰なディレクター役にハマっていたのは意外。高給取りの大女優みたいに扱われているが、アカデミー賞を獲った「エリン・ブロコビッチ」以外は、出世作の「プリティ・ウーマン」を含めて特段評価されるような演技をした作品は無いと思っているので、ちょっとだけ見直した。

しかし、この映画の特筆スべきところはジョディ・フォスターが監督しているところ。映画公開に合わせたインタビュー-で、ハリウッドで監督するのは殆どが男性で女性の監督が極めて少ないこと、その理由としては才能の有無ではなく、女性に監督させて失敗したらどうなるのかというような不合理な理由で、いわゆるガラスの天井が存在するというようなことを話していた。そこに挑戦している彼女を応援したい。

映画としての出来栄えは、最初から最後まで緊張感を保ちつつ、各登場人物の心情の移り変わりを見せているところは良く出来ていると思う。ルール違反をしてでも儲けようとする資本家、利益を追求する個人投資家、その欲望をかきたてて視聴率を稼ぐテレビという組み合わせも構成として面白い。

しかし、ストーリーをよく考えてみると、この手のテレビ番組を見て投資して財産を失った視聴者はこの犯人以外にも大勢いるはずで、その誰もが犯人になり得たかもしれない。たまたま、今回の犯人が損をした原因が当該株が不正に操作されていたので後半のストーリーの展開ができたが、こういうケースはほぼあり得ないくらいの確率でしかない。そういうレア・ケースであるにも関わらず普通に観てしまうところ、その際には普通に損をしている大多数の視聴者兼個人投資家が居ることを忘れてしまう落とし穴があるように思う。また、最後で不正があったことを暴露した後に、犯人は自首することもできたのに自殺に近い形で死なせてしまうのも安易な気がした。

Trailer

2016年に観た映画