今日の映画 – リメンバー・ミー(Coco)

Coco

映画レビュー

昨年は、「SING シング」、「モアナと伝説の海」、「カーズ クロスロード」、「KUBO クボ 二本の弦の秘密」の4本のアニメーションを劇場で観たがいずれもできが良くて楽しめた。アニメは元々は動く漫画で、実写とちがって物や生き物の質感は表現できないが実写では実現できない動きや視覚効果はお手の物ということで、長年実写の映画と棲み分けていた。ところがCG/VFXの技術の進歩によって実写版映画の制約が取り払われ、一方でアニメの側でもコンピュータの活用で3次元的な表現が普通になり、質感も実写と見分けがつかないレベルになったのでアニメと実写の境界はあいまいになりつつあるように感じる。

この映画でも、死者を含めた人の顔はつるんとしたアニメらしいテクスチャーで、動物も独特の質感にしてあるが、それ以外の静物や衣類など、ほぼ実写レベルの仕上げになっている。それが静止状態だけでなく、例えば服が風でたなびく動きまでも自然な感じで違和感が無いし、犬なんかゴムのようにふにゃふにゃしているが、もし手で押したらどれくらいの弾力があるのか想像できるような質感を見せているところがすごい。

物語の舞台はメキシコ。その内容は、メキシコで死者の魂がこの世に戻ってくるとされる死者の日にある家族に起こった出来事。ディズニー傘下のピクサーの制作で、「ブラックパンサー」で黒人票を集めた次にはヒスパニックを狙うディズニーの世界征服戦略の一環。実際にメキシコでは歴代最高の興行成績を上げたという。

映画の冒頭で主人公が自身の一家の歴史について語る場面では、メキシコの切り絵「パペルピカド」のアニメーションを効果的に使っている。また、死者の国の極彩色の動物は、アレブリヘスという全身に点描をまとった木彫人形をモチーフにしている。死者の日にご先祖様の魂がこの世に戻ってくるというのは日本のお盆と通じるところがあるが、起源はメキシコの先住民族の風習で後に入ってきたカトリックと習合したらしい。だが、映画の中ではキリスト教色はまったくない。もしかしたら、アジアでのマーケティングを考慮しているのかもしれない。

現世と死後の世界という構成はメキシコの死者の日の風習から持ってきているが、よく考えたなと思ったのは、「死者の写真が現世の祭壇に祀られていないと現世に戻れない」、「死者の生前を覚えている人が現世でいなくなれば、死者は本当の死を迎えて消滅する」というルールにしてあること。これが物語の進行に大きく関わってくる。

主人公の少年が、音楽のために家族を捨てた高祖父(曽祖父の父)に死後の世界で会いに行くのが映画中盤でのテーマになっているが、ここにもちょっとした仕掛けがしてあり、脚本はよく練られていると思う。物語の大部分は少年が迷い込んだ死者の世界で進むが、そこでは死者が普通に暮らしていて現世と死後の世界を分ける「死」が深刻なものという感じが一切無いのも面白い。そして、ラストでは死者を含めた家族の大切さというメインテーマへと立ち戻る。

こういう物語はアジア人には割と受け入れやすいと思うけど、アメリカでも興行成績が良いというのはどうしたものか? キリスト教徒って死んだら天国に行くと思っているとしたら、ちょっとイメージ違うと思うけどなぁ。

原題「Coco」は主人公の曾祖母の名前。邦題の「リメンバー・ミー」は主題曲のタイトルだが、この映画に関しては珍しく邦題の方がテーマにぴったりで良い。

劇場公開は、「アナと雪の女王」のスピンオフ短編「アナと雪の女王/家族の思い出(Olaf’s Frozen Adventure)」との同時上映。22分とおまけにしては長いが、元々クリスマスシーズンに公開されたものなので季節外れの感あり。

予告編

2018年に観た映画

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