今日の映画 – しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(Maudie)

Maudie

映画レビュー

カナダの画家、モード・ルイスを主人公にした実話に基づく映画。モード・ルイスは生涯カナダのノバスコシアの田舎町を出たことがなかったので、映画の舞台も住んでいた村の中だけ、2時間弱の映画のうち、感覚的には7割くらいはモード(サリー・ホーキンス)と旦那のエベレット(イーサン・ホーク)の2人だけのシーン。

主人公のモードは、小児性関節リュウマチで体が不自由、過去に死産の経験があり、親が残した財産は兄の借金でなくなり、引き取られた叔母には迷惑がられているという不幸という不幸を全部背負っているような中年女性。ところが、エベレットとの出会いをきっかけに、したたかに最悪の環境から脱出する。しかも、その後もエベレットとの雇われ家政婦から妻となり、いつの間にか2人の力関係が逆転してしまっているようなたくましさ満点。

サリー・ホーキンスは、「ブルー・ジャスミン」、「シェイプ・オブ・ウォーター」で実力は分かっているが、モードの見た目は弱々しいのに芯はしっかりしている役にはぴったり。

エベレットは、魚の行商が仕事の粗野な男として登場し、家政婦のモードに対して雇い主としての絶対権力を振るうが、根はやさしいので徐々に外堀を埋められて後半はモードのなすがまま。それでもモードに怒りを向けるのではなく、そういう環境の自分を夫として情けなくおもってしまうような素朴な人。そういうモードとエベレットが互いに寄り添い幸せと感じている、観ている側もほのぼのとさせられる良い映画。

エベレットを演っているイーサン・ホークは脚本も書けるし、俳優としても才能があり出演作も多いのに、これが代表作というインパクトの強い出演作がない俳優。この映画では、言葉で愛情表現などできない無骨なエベレットがモードに対して見せるやさしさの演技が光った。

モード・ルイスについてWikipediaで調べてみると、2人の結婚後にモードが絵を描き始めるいきさつは「エヴェレットはモードが描く事を奨励する。魚を一軒一軒に売るのと同時にモードのポストカードを25セントで売り、やがて彼の顧客から評判が上がる。そしてモードのために油絵のセットを購入する。」となっている。これは映画のストーリーと少し違っていて、これがほんとうだとすれば、エベレットはさらに良い夫だったのに映画では美点が消されてしまっている。いやいや男はつらいね。

予告編

2018年に観た映画

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