今日の映画 − バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance))

今年のアカデミー賞で、作品賞・監督賞・撮影賞・脚本賞の主要4部門を獲得した映画。これは観ないわけにはいかんということで早速映画館へ。

Birdman

かつての映画スターが落ち目になって、舞台でカムバックしようとする流れ。映画の舞台のかなりの部分は劇場の舞台と楽屋。この映画で話題になっているのは、カットのない長回し。特撮もあるから、どこかで編集して繋いでいるのは間違いないけど、見ている限りではカットが見えない長回し。劇場裏の狭い廊下をカメラが走るのもすごいけど、楽屋の中をセットに見えないくらいに普通に撮ってるのはすごい。さらにロングショットからズームしてアップになり、途中に窓の格子をすり抜けるというヒッチコック張りの撮影テクニックを駆使しているところなど、撮影賞を取っているのも頷ける。「ゼロ・グラビティ」の監督と撮影監督のコンビが、凝りに凝って捕ったという感じ。

映画のオープニングは主演のマイケル・キートン演じるリーガン・トムソンが楽屋でパンツ一丁で空中浮遊しているシーンから。いきなり非現実から始まるが、マイケル・キートンの裸の背中が左右対称でなくいびつなところに妙なリアリズムを感じた。

リーガンが「バードマンの4作目は断った」というような台詞があったが、これはマイケル・キートンがバットマン3作に出演して、4作目を断ったという事実に引っ掛けてある。こういうところを含めて、バードマン=バットマン=マイケル・キートンという暗黙の類似点が映画の下敷きになっている。

助演のエドワード・ハリソンもいい味出してる。マイケル・キートンと二人して、俳優という人種がいかに自己中心的で世間一般の人から掛け離れているかを知らしめてくれる。

助演陣は、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、ナオミ・ワッツと錚々たる顔ぶれ。彼らに加えて、スパイダーマンシリーズのヒロインを演ったエマ・ストーンがフレッシュで良かった。

映画を見終わっての感想は、最初から90%まではすごく良かった。アカデミー賞を4つ取ってもよし。ところが、最後の舞台とそれを観た辛口評論家の記事は現実的や無いやろと思った。

さらに、ラストの病院のシーンも納得いかん。映画の中で、リーガンが超能力を発揮したり、バードマンの声を聞くのは、リーガンがちょっとおかしいということで説明が付くけど、ラストシーンは説明できん。ここまで現実と非現実を区別しながら両方見せてきたのに、最後に分からんようにしてしまった意図が不明。そこが残念なところ。ええ映画には違いないけど、個人的には脚本賞はなしやな。


Tranler


2015年に観た映画一覧

番号 邦題 原題 監督 評価
18 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance) Alejandro Gonzalez Inarritu 4.0
17 インド・オブ・ザ・デッド Go Goa Gone Raj Nidimoru, Krishna D.K. 3.5
16 女神は二度微笑む Kahaani Sujoy Ghosh 4.0
15 パリよ、永遠に Diplomatie Volker Schlondorff 3.0
14 博士と彼女のセオリー The Theory of Everything James Marsh 3.5
13 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 The Imitation Game Morten Tyldum 4.5
12 妻への家路 帰来 張芸謀 4.0
11 シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef Jon Favreau 3.5
10 フォックスキャッチャー Foxcatcher Bennett Miller 3.5
9 アメリカン・スナイパー American Sniper Clint Eastwood 4.0
8 おみおくりの作法 Still Life Uberto Pasolini 3.0
7 エクソダス 神と王 Exodus: Gods and Kings Ridley Scott 3.5
6 ドラフト・デイ Draft Day Ivan Reitman 2.5
5 今日の映画 – 特捜部Q 檻の中の女 Kvinden i buret Mikkel Norgaard 3
4 KANO 1931海の向こうの甲子園 KANO 馬志翔 3.5
3 ジミー、野をかける伝説 Jimmy’s Hall Ken Loach 3.5
2 シン・シティ 復讐の女神 Sin City: A Dame to Kill For Robert Rodriguez, Frank Miller 3.5
1 毛皮のヴィーナス Venus in Fur Roman Polanski 4.0
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