テオ・アンゲロプロスの遺作となった映画。この監督の映画を観るのは「旅芸人の記録」以来、久しぶり。「旅芸人…」は約4時間の長い映画で、体調を整えてから観なければならないような映画だったので少々身構えたが、「エレニの帰郷」は約2時間と平均的な長さで、話の展開も緊張感を持って進んでいくので集中力を途切れさせずに観ることができた。
映画の前半は異なる2つの時間の物語を交互に切り替えながら進んでいくが、くどくどとした説明はない。観ているうちにだんだんと分かってくる。映画の中盤で「よし、だいたい分かったぞ」と思ったら、後半は現実と想像が入り混じったような筋立てになり、結末をどう解釈してよいのかと考えているうちに映画は終わる。
以前は、特にヨーロッパ映画で、見終わったあとに「あのシーンはどういう意味やったのかな?」とか「ラストはどうなってんやろ?」と考えさせるような映画も多かった。なので、「分かり易い」映画が普通になった最近では懐かしいような妙な感じ。
アンゲロプロスらしい、長回しの連続、というか長回しでない短いカットの部分は殆ど無い映像と、所々に舞台のセリフ回しを感じさせるような脚本が独特の味わいを出している映画。
前作の「エレニの旅」を観ていないが、この映画はそれに続く3部作の2作目。もう完結することがなくなったのは残念。
Trailer
番号 | 邦題 | 原題 | 監督 | 評価 |
---|---|---|---|---|
1 | ブランカニエベス | Blancanieves | Pablo Berger | 4 |
2 | フォンターナ広場 イタリアの陰謀 | Romanzo di una strage | Marco Tullio Giordana | 3 |
3 | 鑑定士と顔のない依頼人 | The Best Offer | Giuseppe Tornatore | 3 |
4 | オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ | Only Lovers Left Alive | Jim Jarmusch | 4 |
5 | さよなら、アドルフ | Lore | Cate Shortland | 3 |
6 | ROOM237 | Room 237 | Rodney Ascher | 2 |
7 | エレニの帰郷 | The Dust of Time | Theo Angelopoulos | 4 |