今日の映画 – ゴールデン・リバー(The Sisters Brothers)

The Sisters Brothers

映画レビュー

期待せずに映画館へ行ったら思ったより良い映画だったということもあるが、この映画は期待しつつ映画館へ行ったら期待以上に良かった映画。まず、冒頭の銃撃戦のシーンでぐっと引き込まれる。過去に西部劇の銃撃戦はそれこそ数え切れないくらい撮られているが、暗闇で双方の発砲時の光と音だけのシーンを引きで撮るというのは初めてで新鮮。

原題が「The Sisters Brothers」という変なタイトル。映画を観ていくとすぐに分かるが、これは「シスターズ兄弟」。つまり名字が「シスターズ」である2人、すなわちイーライ(ジョン・C・ライリー)とチャーリー(ホアキン・フェニックス)の殺し屋兄弟の物語。邦題がまったく見当違いのタイトルで、しかもポスターなどの広告がジェイク・ギレンホールとリズ・アーメッドの2人を加えて4人セットにするという迷走のおかげで兄弟へのフォーカスが薄れてしまっているのが残念。たぶん、知名度の高いギレンホールを前面に出したかったのだろうが、この映画での彼の役割は脇役に過ぎない。

殺し屋兄弟の物語と書いたが、この2人の性格の設定と会話が絶妙。若い方のチャーリーがリーダーのように振る舞い、おっさんのイーライが常に割りを食っているので実の兄弟ではないのかなと思った頃に、2人の過去や兄のイーライがチャーリーに一目置くようになったいきさつが語られるなど話の展開も緻密に計算されている感じ。

この2人の仕草や会話は決してコミカルではないのに、微妙に理由なく笑いを誘うところがあって、とにかくコンビが最高に良い。チャーリーは大酒飲みで酔っ払うがピンチではシャキッとしてみせるし、チャーリーにやられっぱなしのイーライは実は銃撃戦ではかなり強かったり、次々と意外な一面を見せる演出がにくい。

そういう意味では、冷徹な殺し屋の2人が脇役のギレンホールとアーメッドとひょんな事で交流するようになって、少し人間が変わっていくところが見どころではあったのだが、チャーリーの予期せぬ行動で事態が急変してしまうのも良い意味で観客の予想を裏切る。そして、どうころんでもこの兄弟の未来は暗そうだと思わせておいて意外なラストへ持ってくるところでまたやられる。フランス人映画監督は王道の西部劇を踏襲しながら、程よいひねりを加えて見応えのある映画にしている。もちろん、主演の2人も文句なく良い。

予告編

2019年に観た映画

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