今日の映画 – ロング,ロングバケーション(The Leisure Seeker)

The Leisure Seeker

映画レビュー

ロードムービーはアメリカ映画では一つのジャンルと言ってよいくらい作られてきたが、これは年寄夫婦のロードムービー。年代物のキャンピングカー「The Leisure Seeker」で走るのはマサチューセッツからフロリダまで。

イタリア人監督パオロ・ビルツィはこの原作をアメリカで映画化するにあたり監督する条件として、主演の2人にドナルド・サザーランドとヘレン・ミレンを指名してその通りとなった。この配役が大当たりで、アルツハイマーが進んでまだらボケ状態のジョン(サザーランド)と見かけは元気でちゃきちゃき事を運ぶが実は末期がんのエラ(ミレン)の会話が絶妙。ドナルド・サザーランドは演技派と思っていなかったが、この映画で見直した。ヘレン・ミレンは最近出演作が多いが手抜きはない、というかこの役は地で演ってるように見える。

脚本も良くできていて、交通警官をうまくあしらったり、強盗を追っ払ったりするエピソードを要領よく並べている。フロリダに向けて走り出した直後に乱暴な運転をする車に割り込まれてあわやというところをジョンが見事な反射神経で躱すシーンがある。ジョンはおしっこを漏らすし、ボケて妻の名前も間違ってしまうくらい危なっかしいが車はちゃんと運転できるというのを見せて視聴者に無用の心配をさせないところなど工夫のあとが見える。

旅の目的がヘミングウェイがかつて住んだ家を訪ねることで、元教師のジョンはレストランに行くたびにヘミングウェイのことをウェイトレスに語るなどヘミングウェイがちょこちょこと出てくる。ヘミングウェイの最期がこの映画の結末を暗示しているが、こういう終わり方はキリスト教徒から見てどうなんだろうかなと思ったりする。日本人の感覚からは全くOKだが。

この映画も日本語タイトルが似た邦画のタイトルを意識しているようでイマイチ。映画の原題はキャンピングカーの名前だが、原作はマイケル・ザドゥリアンの「旅の終わりに」という小説なので、これを使った方が100倍くらいよかったと思う。

予告編

2018年に観た映画

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