今日の映画 – マネー・ショート 華麗なる大逆転(The Big Short)

リーマン・ショックを予見してしっかり稼いだ人たちの話。 原作は「マネー・ボール」の マイケル・ルイス。

The Big Short

クリスチャン・ベール、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピットの4人が大きくクレジットされて、ポスターにもこの4人が出ているが、実質的な主役は最初の2人。ライアン・ゴズリングは役柄が違うし登場も少なめ、ブラッド・ピットにいたっては新米投資家2人の後見人みたいな役でゲスト出演という感じ。ブラッド・ピットは昨年の「フューリー」で、まだ俳優としてやる気あるところを見せたと思ったが、制作の方が本業になりつつあるのかもしれない。

クリスチャン・ベールはバットマンやジョン・コナーなど闘う男みたいなイメージがあったけど、今回は博士号を持っているのに趣味の金融工学にハマり込んでるおっさん風。音楽をガンガン鳴らしたオフィスでTシャツ、半ズボンにサンダルと身なりに無頓着、それでもきっちり運用益は上げているという今までと違った役を演じてええ感じ。

スティーヴ・カレルは「フォックス・キャッチャー」のいかれた金持ちの役しか見てないけど、今度は一転して小さな会社のリーダで正義感が強すぎるような役。前作の印象が強かったので、今度は普通すぎてインパクト小さいけど悪くない。

リーマン・ショックの元となったサブプライムローン問題はニュースの報道としては知っているが、映画はその問題の根底にある金融会社の儲け至上主義、リスクがあるのを承知しながら知らないふりをしてきた無責任主義を順々に明らかにしていく。また、そういう不誠実な輩が作り出した何の値打ちもない債券を違う形にパッケージしてしまうと、まるで価値のあるもののように作り変えてしまうことが可能で、そこに皆が群がったという人間の欲望の恐ろしさをみせてくれる。こういうところは法廷ものによくある社会派ドラマの雰囲気に似たものを感じる。

映画自体は悪くないけど、この映画も日本語タイトルが良くない。原作の小説はすでに邦訳があって、タイトルは「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」それが映画だと「マネー・ショート 華麗なる大逆転」になってしまうのはなんとも情けない。原題「The Big Short」の「ショート」は小説の邦題になった「空売り」の意味なのに、「マネー・ショート」なんてしてしまうと「資金不足」と考えてしまう。

タイトルにサブで補足をつけるのもいいかげん止めて欲しいと思うが、「華麗なる大逆転」というのもこの映画を言い表していない。サブプライムローン問題が発端となってバブルが崩壊し、それを予見していて皆と逆張りの空売りをしていた投資家は結果的には大金を手にしたけど、クリスチャン・ベール、スティーヴ・カレルそれぞれが演じる主人公達は自分が大金を得るということは、バブル崩壊で多くの善良な人々がそれまで蓄えた財産や将来の年金を失ってしまうことが分かっているので、浮かれてもいないし、大喜びもしていない。これを「華麗なる大逆転」と行ってしまう日本の映画配給会社の感性はどうしたもんかと思う。


Trailer


2016年に観た映画

番号 邦題 原題 監督 評価
10 マネー・ショート 華麗なる大逆転 The Big Short Adam McKay 4.0
9 キャロル Carol Todd Haynes 4.5
8 サウルの息子 Saul fia Laszlo Nemes 3.5
7 ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 5 Flights Up Richard Loncraine 3.0
6 独裁者と小さな孫 The President Mohsen Makhmalbaf 4.5
5 ブラック・スキャンダル Black Mass Scott Cooper 4.0
4 消えた声が、その名を呼ぶ The Cut Fatih Akin 4.0
3 完全なるチェックメイト Pawn Sacrifice Edward Zwick 4.0
2 ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies Steven Spielberg 4.5
1 スター・ウォーズ/フォースの覚醒 The Force Awakens J.J. Abrams 4.8
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