今日の映画 – スプリット(Split)

スプリットのポスター

映画レビュー

監督は、「シックス・センス」、「アンブレイカブル」、「サイン」などのナイト・シャマラン。この人については、名監督という人もいれば駄作の製造者とこき下ろす人もいるようの評価・好き嫌いが分かれる監督。名作・駄作あるいは好き嫌いは別にして、「シックス・センス」は興行的に成功して出世作となったが、直近の「エアベンダー」、「アフター・アース」は評価も芳しくなく、興行的にもいまひとつだった模様。そういうことも背景にあったのかもしれないが、本作はキャスト、セット、ロケにお金を掛けずに作った低予算映画の香りがプンプンする。

物語は女子高校生3人の誘拐事件であるが、犯人が解離性同一性障害者、いわゆる多重人格者というのが普通ではないところ。解離性同一性障害者というのは大抵のひとにとって馴染みがない病気だが、映画だとヒッチコックの「サイコ」でアンソニー・パーキンス演じる殺人犯は、宿屋の主人という本人の人格と亡くなった自分の母親の人格を持っていて、それが入れ替わるという役柄。この場合は人格が2つだけど、この映画の犯人は全部で23の人格を持ち、映画の中で24番目が出てくるという設定。

解離性同一性障害を扱った読み物で有名なのはダニエル・キイスという人によるノンフィクション「24人のビリー・ミリガン」。これはアメリカに実在したビリー・ミリガンという人が24の人格を持っていて、スポットと呼ばれる場所の周りに24人が立っていて、そのうちスポットに立った人の人格が外に現れるというような説明だった。本来の人格であったビリー・ミリガンは表に出すと自殺のおそれがあるということで他の人格によって眠らされているところは映画でも使われている。また、24人それぞれに年齢、性別、名前があるのも同じ。ビリー・ミリガンの中では23人の人格を統合した「教師(Teacher)」が24番目の人格として登場する。

この映画は「24人のビリー・ミリガン」を意識しているというか、多重人格の構造をパクっている。主人公で犯人のケビンの中に居る24人の構成メンバーは異なるが、表に出てくる人格が「光が当たる」、「光を独り占めにする」というのはスポットに立つというのに近い。それぞれが個性を持っているところも同じだが、24番目に出現する人格が「ビースト(Beast)」と呼ばれる凶暴な性格と超人的な肉体を持っているということが違う。さらに、出現する人格によって、肉体そのものが変化するというSF的な発想を加味して超自然的なキャラクターにしてしまっているところが大きく違うところ。

この多重人格者を演じるのはイギリスの俳優ジェームズ・マカボイ。X-MENシリーズのプロフェッサーXは先日観たばかりの「ローガン」に出ていたパトリック・スチュワートが演っていたが、俳優の世代交代で2014年の「X-MEN:フューチャー&パスト」からは、ジェームズ・マカボイがプロフェッサーXを演っている。はっきり言ってそれ以外の出演は知らん映画。この映画では24のうち8つくらいを演じ分けているが、ちょっと気持ち悪いとこを含めて、まあようやってるのんちゃうかな。

誘拐される3人の内、ヒロインのケイシー役のアニヤ・テイラー=ジョイは19歳の無名の女優。目と目の離れ具合が個性的。少女時代の回想シーンでの子役も目が離れていていた。金髪の女の子クレア役をやっていたヘイリー・ルー・リチャードソンは「スウィート17モンスター」に出ていたらしいが、こちらもほぼ無名。精神科医のおばちゃんのベティ・バックリーはベテランらしい演技を見せたが、この人もたいしたキャリアを持っていない。まあ、出演者のギャラはあまり掛かっていないのではないか。

映画のラストは完結する終わり方でなく、続編を作れるような微妙な終わり方。ラストで事件のテレビ報道を聞いた女の人が「15年前の事件に似ている」と言って、それに対して別の人が「ミスターグラスだよ」というのは「アンブレイカブル」の登場人物の名前らしい。ナイト・シャマランのインタビューなどからの情報によると、「アンブレイカブル」と「スプリット」を合わせた続編を企画しているらしい。

「アンブレイカブル」を観ていないが、ブルース・ウィリスが不死身のヒーローの役柄だったらしいので、それに対する悪の超人みたいなのがこの映画のケヴィンの役柄か? 引っ張らずに、本作で完結させておけば良かったのではと思うが、続編を作るならお手並み拝見。目と目が離れたアニヤ・テイラー=ジョイが、DV叔父さんを徹底的にやっつけるところを見てみたい。

予告編

2017年に観た映画

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