今日の映画 – PK(PK)

大ヒットした2009年のインド映画の名作「きっとうまくいく」と同じく、監督ラージクマール・ヒラニ、主演アーミル・カーンのコンビによる新作。

PK

アーミル・カーンは1965年生まれ、この映画の撮影時には49歳だが見たところ30歳代で裸になってみれば胸の筋肉隆々、年齢を感じさせない。この映画では地球にやってきた宇宙人という役柄で、殆どのシーンで両目をくわっと見開き、上半身が固まった肩のこりそうな姿勢で通している。「PK」というのは「よっぱらい」という意味で、地球に来て名前が無い時に地球人から見て常識離れした行動を重ねた結果、呼ばれた「PK」がそのまま名前になってしまった次第。

PKから宇宙人であることを打ち明けられ、途中からP行動を共にするのは、留学先のベルギーで恋人と別れてインドに戻り、テレビ局で働いているジャグー(アヌシュカ・シャルマ)。インドでは普通のヒンズー教徒。 映画の始めで出会って別れる恋人サルファラーズがなぜかパキスタン出身のイスラム教徒であるのは、その後の展開の伏線でもある。

PKは地球到着直後に宇宙船を呼ぶためのリモコンを盗まれてしまい、それを取り戻そうとするが手立てがない。地球人に話しても、皆「神様に頼むしか無い」というばかりで、それを素直に受け取って神様に接触しようとする。

その結果、

  • 神様を主張する宗教がたくさんある。
  • 自分の宗教がどの宗教か分からない。
  • 各宗教には代理人が居て、その代理人を通さないと神様とコンタクトできない。
  • 代理人を通して聞いた神様のメッセージがしばしば理不尽なのは、電話の「掛け間違い」と同じで、正しい相手に伝わっていない。

という宇宙人から見て不可解な事実に突き当たる。こういう矛盾点を宇宙人ならではの純朴さで語るのが宗教を茶化してしまっているとも取れるし、強烈な皮肉とも受け取れる。映画全体を通しては、インド映画ならではの歌あり、踊りありのコメディであるが、唯一シリアスなところは宗教活動家によって起こされた列車テロで多くの人が死んでしまうシーンで、これは昨今の頻発する宗教テロへの批判であることは間違いないと思う。

日本よりは生活に占める宗教の比率が高いはずのインドで、このような宗教ネタの映画が作られて大ヒットしているのはなぜだろうと考えてみた。

まず、PKが宇宙人で宗教に関しては全くニュートラルであること。別の宗教を信じる人から自分の宗教をからかわれたり、批判されたら大抵の人は怒るもんね。

あと、映画の中では多くの宗教をネタにしているが、敵役にされたのがヒンズー教の導師で、かつインド国民の多くがヒンズー教徒であること。そしてヒンズー教が多神教で、良い意味で「ええかげん」で違った考えを受け入れる下地があること。 同じことを一神教の宗教を題材にしたり、そういう宗教の国でやったらただで済むとは到底思えない。

映画を見終わった時に感じた、この映画のざっくりとしたイメージは、「ミスター・ビーン物」、「マイケル・ムーアの体制批判物」、前作の「きっとうまくいく」を足して3で割ったような感じ。

しかし、この映画を宇宙人物や宗教批判映画にしてしまわずに、ラブ・ストーリーとしてまとめ上げたとことが、監督の手腕で、この映画をヒットさせた原動力だと思う。


Trailer


2016年に観た映画

番号 邦題 原題 監督 評価
51 PK PK Rajkumar Hirani 4.5
50 われらが背きし者 Our Kind of Traitor Susanna White 3.5
49 手紙は憶えている Remember Atom Egoyan 4.0
48 インフェルノ Inferuno Ron Howard 3.0
47 スター・トレック BEYOND Star Trek Beyond Justin Lin 3.5
46 ジェイソン・ボーン Jason Bourne Paul Greengrass 3.5
45 ある天文学者の恋文 La Corrispondenza Giuseppe Tornatore 4.0
44 ハドソン川の奇跡 Sully Clint Eastwood 4.5
43 ソング・オブ・ラホール Song of Lahore Sharmeen Obaid-Chinoy 4.0
42 スーサイド・スクワッド Suicide Squad David Ayer 4.0
41 イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優 Jag ar Ingrid Stig Bjorkman 4.0
40 ティエリー・トグルドーの憂鬱 La Loi du Marche Stephane Brize 3.5
39 イレブン・ミニッツ 11 Minut Jerzy Skolimowski 3.5
38 ニュースの真相 Truth James Vanderbilt 3.0
37 バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 Batman v Superman: Dawn of Justice Zack Snyder 3.5
36 ブルックリン Brooklyn John Crowley 2.5
35 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 Trumbo Jay Roach 4.0
34 AMY エイミー Amy Asif Kapadia 4.0
33 帰ってきたヒトラー Er ist wieder da David Wnendt 4.0
32 教授のおかしな妄想殺人 Irrational Man Woody Allen 4.5
31 レジェンド 狂気の美学 Legend Brian Helgeland 3.5
30 デッドプール Deadpool Tim Miller 4.5
29 マネーモンスター Money Monster Jodie Foster 4.0
28 サウスポー Southpow Antoine Fuqua 3.5
27 マイケル・ムーアの世界侵略のススメ Where to Invade Next Michael Moore 3.5
26 ヘイル、シーザー! Hail, Caesar! Joel Coen,
Ethan Coen
4.0
25 マジカル・ガール Magical Girl Carlos Vermut 4.5
24 レヴェナント:蘇えりし者 The Revenant Alejandro González Iñárritu 4.0
23 アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち The Eichmann Show Paul Andrew Williams 3.5
22 ボーダーライン Sicario Denis Villeneuve 4.0
21 ミケランジェロ・プロジェクト The Monuments Men George Clooney 2.5
20 Johnny Winter: Down & Dirty Johnny Winter: Down & Dirty Greg Olliver 3.5
19 スポットライト Spotlight Tom McCarthy 4.5
18 さざなみ 45 Years Andrew Haigh 4.5
17 ルーム Room Lenny Abrahamson 3.5
16 最高の花婿 Qu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu? Philippe de Chauveron 3.5
15 人生は小説よりも奇なり Love is Strange Ira Sachs 3.5
14 レッキング・クルー 〜伝説のミュージシャンたち〜 The Wrecking Crew Denny Tedesco 4.0
13 リリーのすべて The Danish Girl Tom Hooper 4.5
12 SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁 Sharlock: The Abominable Bride Douglas Mackinnon 2.5
11 ヘイトフル・エイト The Hateful Eight Quentin Tarantino 4.5
10 マネー・ショート 華麗なる大逆転 The Big Short Adam McKay 4.0
9 キャロル Carol Todd Haynes 4.5
8 サウルの息子 Saul fia Laszlo Nemes 3.5
7 ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 5 Flights Up Richard Loncraine 3.0
6 独裁者と小さな孫 The President Mohsen Makhmalbaf 4.5
5 ブラック・スキャンダル Black Mass Scott Cooper 4.0
4 消えた声が、その名を呼ぶ The Cut Fatih Akin 4.0
3 完全なるチェックメイト Pawn Sacrifice Edward Zwick 4.0
2 ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies Steven Spielberg 4.5
1 スター・ウォーズ/フォースの覚醒 The Force Awakens J.J. Abrams aigh 4.8
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