今日の映画 – IT イット “それ”が見えたら、終わり。(It)

It

映画レビュー

スティーヴン・キング原作の小説「IT」の映画化。キング原作の映画は佳作か駄作か両極端という傾向があるので出来栄えが心配だったが、日本公開前にアメリカで大ヒットしていたので期待しつつ映画館へ。

原作が厚めの文庫本4冊という長編なので、135分の映画にまとめる際に、どの部分を残して、どの部分を捨てるかが難しいところ。1990年に制作されたテレビのミニシリーズは2話構成で比較的原作に忠実に作っていたが評価は高くなかった。

舞台はキングの作品ではキャッスルロックと並んで度々登場するメイン州の架空の町「デリー」。この町に棲みついていて、27年毎に目覚めては子供たちを捕食する超自然的力を持つ謎の生物との戦いの話。原作では、デリーの図書館勤務の一人が、27年前の子供時代に「It」と共に戦った6人を呼び集めるという話の流れ。小説では、7人の現在と子供時代との性格描写が綿密かつ延々と行われるのはキングの得意とするところ。7人は27年前に「It」を撃退していて、その際に、27年後に「It」が現れたら再び集結することを誓い合う。ところが、超自然的な力で27年前の記憶は薄れてしまっていて、それを思い出すという仕立が加わるのがキングらしい。

映画では、思い切って「現代」をバッサリとカットし、27年前の7人の子供時代だけにフォーカスすることで複雑になりすぎないようにしていて、これが成功の一因なのは間違いない。さらに、主人公を子供にすることで、キング原作の映画の中では人気の高い「スタンド・バイ・ミー」を連想させる。

子役はビル役のジェイデン・リーベラーとリッチー役のフィン・ウルフハードが他の映画への出演実績があるくらいで、おそらく殆どは素人かこの映画でデビューと思われるが、かえって新鮮で良い。子供4人の「スタンド・バイ・ミー」と比べると7人はいささか多いが、それぞれの役のキャラクターもよく出ていた。

上手な取捨選択で、映画のまとまりは良くなったが、キングの作品で秩序を守る側のアイコンとして登場する「亀」は川遊びで子供が踏むところと、レゴで作られたものとして登場するが、特に説明はなく話の流れにも影響しないので単なるキングファンへのトリビアねた。

おまけっぽいところでは、ビルが乗る自転車の「Silver」の文字が2回も大写しになる。小説では、ローン・レンジャーから名前をとった「シルバー号」のお陰で「IT」から逃げられるし、大人になっても大事な材料として使われるので小説を読んだ人にとってはニヤッとするところ。

映画の最後に「チャプター 1」と表示されたので、27年後を舞台にした続編を作ることができる構成。本作が、アメリカで予想以上のヒットだったので正式に計画されるかもしれない。しかし、原作で華があるのは子供時代の方で、おとなになってからの部分は一捻りしないと厳しいのではないかと思う。しかし、映画化されるなら楽しみではある。

予告編

2017年に観た映画

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