今日の映画 - アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya)

I, Tonya

映画レビュー

ライバルのナンシー・ケリガンの襲撃事件に関与していたというスキャンダルでフィギュアスケートから追放されたトーニャ・ハーディングの映画。本人、母親、元夫、元ボディーガード、レポータの証言のシーンを織り込んでドキュメンタリー風の仕立て。

観る側は襲撃事件の真相がどうだったのかに興味がある訳だが、証言者の言い分はそれぞれ微妙に違う。で、実際に映像として再現される内容はその食い違いの振れ幅を逆に利用して、真実は藪の中であることをコミカルに表現している。例えば、元夫は暴力は振るっていないと言うが映像ではどづきまくっているし、トーニャはほんとうはやっていないと言いながらショットガンをぶっ放す。こういう場面のセリフ回しで出演者が観客に向かってしゃべる、いわゆる「第四の壁破り」を効果的に使っている。

そういう訳で、これが真相だという内容にはなっていないが、話の流れとしてはトーニャの側に立っていて、通して観ると同情を感じざるを得ない。まあ、元ボディーガードがいちばん悪いねんけど、たぶん。

今まで数多くの映画で、家庭環境として貧困と暴力が取り上げられてきたが、この映画でもトーニャは母親に殴られ、夫に殴られ、また殴り返しもする。感心したのは、母親も元夫も「そろそろ殴るかな、あっ殴った」じゃなくて予知する前にサクッと殴ること。暴力が普通な家庭ではきっと殴り方もこうなんだろうと思わせる妙な説得感があった。母親は気がついた時にはナイフ投げてたし。

トーニャ役のマーゴット・ロビーはスーサイド・スクワッドのハーレイ・クイン役のぶっ飛んだ演技で一気に人気女優になった。だた、この一本で演技ができる女優と言い切れるのかは意見が分かれたかも知れない。この映画でのトーニャ役はその疑問に対する答えを用意しましたと言わんばかり。受賞はできなかったがアカデミー主演女優賞にノミーネートされたことで実力を証明したと言える。

フィギュアスケートの一流選手になるためには、子供の頃からコーチについて練習するのがあたりまえで、お金持ちのスポーツというイメージがある。そこに貧困母子家庭で母親がウェイトレスというトーニャは当然場違いで、出る杭は打たれる苦労をしながらオリンピック選手になったという成功、そしてスキャンダルによる挫折、いずれも大衆受けする物語を20年以上経ってから掘り起こして映画化という着目点は良いと思った。

そして、マーゴット・ロビーが、ハーレイ・クイン、トーニャと連続して美味しい役を獲得したのはツキがあるなと思ったが、この映画のスタッフをよく見ると、彼女は制作にも加わっている。調べてみると、俳優業の傍ら、早くに映画制作会社も立ち上げているというから若いのにやり手のようだ。

予告編

2018年に観た映画

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