今日の映画 – グリーンルーム(Green Room)

「Green Room」のポスター

映画レビュー

スター・トレックシリーズでチェコフ役をやっていたアントン・イェルチンの初のそして最後の主演作。イェルチンは2016年6月に自動車の事故で亡くなっている。

観る前からB級映画の香りがぷんぷんする映画で、観てみるとやっぱり低予算のB級映画やった。ただ、B級映画にはB級映画なりの楽しみ方があって、予算を湯水の如く使って作られた大作と同じものを期待するのではなく、寛容の精神で観ることがまず大事。あとは減点主義であら捜しするのではなく、視点を下げてちょっとした面白いところを探すこと。

映画のストーリーは至ってシンプルで、パット(アントン・イェルチン)がヴォーカルとギターを担当する3人の売れないパンク・ロックのバンドが行き着いた田舎のライブハウスがネオ・ナチの根城で、そこで運悪く殺人を目撃してしまう。いきなり命の危険に
映画のストーリーは至ってシンプルで、パット(アントン・イェルチン)がヴォーカルとギターを担当する3人の売れないパンク・ロックのバンドが行き着いた田舎のライブハウスがネオ・ナチの根城で、そこで運悪く殺人を目撃してしまう。命の危険を感じた彼らは、同じ境遇のライブハウス付きのバンドメンバーと楽屋に立て籠もって生存を掛けて戦うというもの。タイトルの「Green Room」は「楽屋」という意味。

映画が始まって最初の15分くらいは、主人公達がガソリン代にもこと欠くくらいの貧乏ツアーで出演先を斡旋してもらうような話の流れ。ただ、会話の部分が早口でポンポンと進んでいくので字幕を追うだけで精一杯。しかも、そこに織り交ぜられる音楽用語や曲名やアーティスト名なんかがたぶんパンク系で聞いたことが無いような名前ばかりなので正直よく分からない部分あり。そういう音楽が好きな人にはスッと入っていくのかもしれんけど。

ネオ・ナチの人たちは力は強うそうでもちょっと知恵が回らないような面々。その中で、パトリック・スチュワート演じるリーダーだけが知的な感じ。楽屋に立て籠もったバンド・メンバー達をドア越しに懐柔して出てこさせようとするところはなかなか良かった。ところがこのリーダー、言葉巧みに立て篭もり組の拳銃を取り上げたところまでは良かったが、その後の戦術面がはからっきしダメ。相手は丸腰なので、荒くれ共にドアを破らせて楽屋へ突撃させれば終わりなのに、なぜか建物を包囲して出てくるところを待ち伏せるという訳の分からん作戦を取る。かと思えば、手下や獰猛な犬を送り込んだりする。その結果、立て篭もり組も何人か失うが、ネオ・ナチ側にも同じくらい犠牲者が出て、さらに反撃される始末。そいういうところは脚本が甘いといえば大甘で、それもこの映画がB級たる所以。

たしかに、作りは荒っぽいが、追い詰められた弱者が暴力的な反撃に出るというストーリーは、サム・ペキンパー監督、ダスティン・ホフマン主演の「わらの犬」を連想させる。また、普通の人が暴力的になるのは「タクシー・ドライバー」に通じるところもある。

もっとも、主演のイェルチンはヘタレで、一番殺しまくるのはイモージェン・プーツ演じるアンバーという女の子。イェルチンには悪いが、ブーツを主演にして撮った方がもっと面白くなったんちゃうかな。あと、ネオ・ナチが飼っていて建物の中へ送り込まれるめちゃくちゃ獰猛な犬が明るいところで見るとえらく可愛らしいところのギャップも面白い。まあ、こういう見方をすればそれなりに楽しめる。

映画とは関係ないが、パトリック・スチュワートは、「スター・トレック」のジェネレーションシリーズでエンタープライズの船長役をやっていた俳優。アントン・イェルチンとはスター・トレック世代を越えての共演となった。新しいスター・トレックはまだ続いていきそうなので、今後のチェコフあるいはその代役がどうなるかも興味のあるところ。

Trailer

2017年に観た映画

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