今日の映画 – ファースト・マン(First Man)

First Man

映画レビュー

ロケット打ち上げのシーンなどがまず目に浮かぶので、宇宙映画のようなイメージを持ってしまうが、アポロ11号で人類初めて月に降り立ったニール・アームストロングの伝記映画。

冒頭はアームストロングがテストパイロットとして高高度を飛行しているシーン。細かな説明はされないが、おそらく成層圏を超えて宇宙空間に達したところで機械のトラブルが発生、高度を落として地上へと戻らなければならないところで逆に上昇してピンチという場面。あわやというところで機転を利かせて無事帰還したが、テストパイロットが一つ間違えば死んでしまう危険な仕事であることをしょっぱなにガツンと見せる。

派手なオープニングに比べて、その後の展開はいささか地味。というかアームストロング本人と家族、宇宙飛行士を目指して訓練を受ける同僚たちを淡々と描いていく。事実に基づいた映画なので、創作の入る余地はないのは仕方ない。アームストロングという人は宇宙飛行士を引退した後に、政治家へと誘われたが断るなど、絶対的な知名度を利用しようとしなかった人。そのため、どういう人物だったのかよく知らなかったが、この映画で一通りのことが分かった。

主演のライアン・ゴズリングは「ラ・ラ・ランド」の成功のあと、2年位他の映画に出演せず、ほぼこの映画一本に賭けていた様子。娘を病気で失い、同僚が次々と事故で亡くなり、政府や国民からの期待を背負うプレッシャーと未知の世界へのファーストマンになりたいという気持もあったはずのアームストロング。ただ、この人は感情をあまり外に出さないので、演じるのは難しかったと思うが、ゴズリングなりに成り切っていたのではないだろうか。

月面に降り立つシーンでは、星条旗を立てるシーンが出てこない。アメリカ人にとって、ここはハイライトの場面なのになぜ映らなかったのだろうと考えていたら、エンドロールで製作総指揮の一人にスティーブン・スピルバーグの名前を発見。星条旗を出すことによって、意図しない国威高揚になることを避けたのかもしれないし、そういう機会を利用しがちな現大統領を慮ってのことかなと・・・

予告編

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