今日の映画 – バリー・シール アメリカをはめた男(Barry Seal)

Barry Seal

映画レビュー

トム・クルーズ主演の実話に基づいた映画。バーリー・シールという実在の人は、元はTWAの若手敏腕パイロットで、CIAにその腕を買われて、南米のCIAが介入する国での偵察飛行、さらには違法な武器の運搬を請け負いなどCIAの手先として働き、同時にメディシン・カルテルの手先としてコカインのアメリカへの密輸を行い、両方から莫大な金を稼いだという人。

映画では、バリーが堅気のパイロットから違法な稼業に手を染めるくだりと、それに連れてどんどんと儲かって羽振りが良くなっていくところをテンポよく描いている。この手の映画の例にもれず、絶頂期の後には転落が待っていて最後は気の毒な結末が待っている。

映画には「アメリカをはめた男」 という副題が付いていて、バリーがアメリカ政府とメディシン・カルテルの両方を手玉に取る悪知恵の働く男のイメージを作ろうとしている風。ところが映画を観てみると、バリーがCIAにはめられたとしか思えない。少なくともCIAに利用されて、最後は捨てられたのは間違いない。

バリーが知恵の働く男だったかというと、そうとは思えない。10年間で50億ドルほど稼いだらしいが、その金の使いみちどころか保管方法も分からず、そこらに埋めたり、箱に入れて放置したままだったり、ロンダリングする知恵も才覚もなかった男。お金だが、CIAとメディシン・カルテルと関係を作ってしまったら、簡単には足抜けできないことは分かりそうなのに、その対策も考えた気配なし。結局、複雑な国際情勢のなかで利用され、泳がされ、最後は消された気の毒な人ではないだろうか?

別の味方をすれば、バリーという人は根っからのパイロットで、スリルを味わいながら飛行機を操縦したいだけだったのかも知れない。でないと、数十億稼いでもうお金は埋めるほどあったのに操縦し続けた理由が分からない。話が変わるが、この映画での飛行機の操縦シーンは代役を使わずトム・クルーズが全部操縦したという。スタントを使わないトム・クルーズらしいが、飛行機を操縦するのが好きという点で、バリーとトムはつながっているのかもと思った。

実話に基づくといっても、肝心なところはCIAが隠蔽している可能性が高いし、想像を交えた筋書きなのかもしれない。そうであっても一向に構わないのだが、その割には映画のストーリーとしては平凡で、さほど面白いとは思わなかった。メディシン・カルテル、ノリエガ、イラン・コントラなど、ニュースでは聞いたことがあるが詳しいことは知らない名前が出てきたり、アメリカのCIA、FBI、DEA、ATFなどが総出演するのは興味深かったが。あと、ホワイトハウスで、”優秀な”パイロットだったジョージ・W・ブッシュと会話するところなど笑えるシーンはある。

予告編

2017年に観た映画

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