今日の映画 – バーフバリ 王の凱旋(Baahubali 2: The Conclusion)

Baahubali 2 The Conclusion

映画レビュー

今年観た映画の中で一番痛快な映画。この映画は2部作の完結編、前作は「バーフバリ 伝説誕生」で昨年4月に公開されていたが観ていない。本作も公開は昨年の12月だったが、異例のロングランで3月に観ることができた。

前作を観ていない人のために、「インド映画『バーフバリ』完結編を見る前に5分でわかる前作ダイジェスト映像」が公開されていて、劇場での完結編の映画の前に同じ内容の映像が流される。

この映像のため、予備知識がなくても分かりやすいのではあるが、どうやら2本の映画は時系列で前と後ろに分かれているのではなく、現在→過去→現在と時間的に前後しているようで、第2部のかなりの部分は過去、すなわち親父のバーフバリの活躍と王位を逃したバラーラデーヴァの陰謀に時間が充てられる。バーフバリ親子は同じ俳優(プラバース)が演っているので、映画が始まってしばらくは、登場したバーフバリがどちらのバーフバリなのか迷ってしまった。

だが、そういうことが気にならないくらい映画は面白い。ストーリーが勧善懲悪でシンプルということもあるが、3代に渡る確執や登場人物のキャラクターなどプロットがしっかりしている。これは「ラーマーヤナ」と並ぶインドの叙事詩「マハーバーラタ」から原案と得ているからなのかもしれない。

さらに、物語の世界観を映像化するのにしっかり金と手間を掛けている。王宮からの景色はベン・ハーを思わせる壮大さ、また、どこまで実写でどこからCGなのか分からないがエキストラも相当な人数を突っ込んでいるらしい。音楽も戦闘シーンでの躍動感のある音楽と歌詞が物語を歌い上げるような音楽とが入り混じるのがインド映画らしい。さすがに主要登場人物が突然踊りだすシーンはないが、バーフバリがデーヴァセーナを母国へと連れて帰る場面で、船が浮揚して飛ぶ空想のシーンが挿入されている。

そして、特筆すべきは戦闘シーン。大勢が入り乱れる乱戦、バーフバリがデーヴァセーナが弓矢で侵入者と戦うところ、

インド映画としては破格の制作費をつぎ込んだらしいが、バーフバリとバラーラデーヴァとの決闘など見どころ満載。バーフバリの強さは圧倒的で、立ち向かう雑兵の類はお手玉のようにポンポンと弾き飛ばされるし、攻城戦でヤシの木をバネに使って6人ごと輪になって飛び込んでいくシーンも秀逸。特に、格闘シーンは特撮で目まぐるしく動くが、ハイライトの場面ではスローモーションを多用してじっくりと観させてくれる。刀や弓矢を使ったインドの武術に心当たりはないが、アクロバティックな動きだけでなく、敵味方が相対するところなど日本の武術や香港のカンフーに通じる型の様式美を感じさせられる。

奴隷ながら剣の達人で物語で重要な役割を果たすカッタッパの行動がいまひとつ受け入れにくいが、それはさておき、娯楽映画としてダントツに面白かった。

予告編

2018年に観た映画

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