映画レビュー
1960年代に無寄港の世界一周レースに挑戦したアマチュアヨットマンの実話に基づく映画。主演が最近好調のコリン・ファースなれば観るしかないと映画館へ行ってみたものの、正直がっかり。
主人公クロウハースト(コリン・ファース)は経営する会社が不振で、賞金と名声を獲得するため新しくヨットを作ってレースに挑む。外洋航海の経験がない素人ヨットマンなので、窮地を脱するための博打に近い。ストーリーを知らずに映画館へ行ったので、見ている側からすると、予想する結末は、「不利を跳ね返して見事優勝」、「頑張ったけども、惜しくも優勝を逃す」、「健闘むなしく、途中でリタイア」、「惜しくも、事故で亡くなる」などなど。いずれにせよ、「頑張る」というのが共通の期待。
この映画はそれらを見事に裏切ってくれる。それはがっかりではあるが、「それはないやろ」というがっかり感がこの映画の売りだとすれば成功したと言えるかもしれない。日本語のタイトルが思わせぶりだが喜望峰の風には吹かれないし、そもそも原題Mercyは直訳すると「慈悲」。たしかにダメダメ男クロウハーストには慈悲が必要だった。
映像についても、出港してからのシーンは洋上のクロウハーストと本国で待っている家族などを交互に写すだけで観ていて飽きる。レースなのだから、ライバルの船のシーンなどもあっても良かったと思うが一切なし。
違う見方もあるかもしれないが、やっぱりがっかり。コリン・ファースとレイチェル・ワイズの無駄遣いに終わってしまった。
予告編
2019年に観た映画
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