映画レビュー
アメリカのコメディアンコンビ「ローレル&ハーディ」の伝記映画。映画の冒頭は彼らの絶頂期で最も稼いでた頃の映画撮影書のシーン。チャップリンやキートンは自分たちの10倍以上稼いでいると言ってギャラに不満をこぼしたり、雇い主のハルとギャラアップの交渉をするとか、独立するとか気楽な話をしている。ハーディは離婚するたびに慰謝料を払って金回りが苦しくなっているのに次の結婚をしようとしているなど彼らの日本語名「極楽コンビ」を地で行っている。しかし、映画はすぐに15年後に飛ぶ。すでにコンビの任期は凋落していて、映画の話もなくなりイギリスでドサ回り中。この公演ツアーを成功させて、映画の新作のチャンスを掴みたいともがき続ける。
映画がサイレントからトーキーに変わる頃のコメディアンでは圧倒的にチャーリー・チャップリンが有名。バスター・キートンとハロルド・ロイドを加えた3人が「三大喜劇王」ということになっているらしい。以上の3人とローレル&ハーディはいずれも1890年前後に生まれているので同じ世代で活躍した喜劇人。しかし、チャップリンとキートンは1970年代に一連の映画が日本でリバイバル上映されたので主要な作品は観ているが、ロイドは名前は知っているが映画を観たことはなく、ローレル&ハーディに至ってはこの映画を観るまで知らなかった。
映画の中でもローレル&ハーディの映画の一部が映るが、いわゆるドタバタ喜劇。チャップリンやキートンと違って二人組なのでコントや踊りに息の合ったところを見せる。チャップリンが映画の監督や制作にまで踏み込み、ドタバタから始めて後期は社会的なテーマも扱うようになったのに比べて、ローレル&ハーディはドタバタに徹したために人気が続かなかったのかも知れない。
この映画はそういう2人の晩年の伝記映画で、もちろん2018年制作の現代の映画だけども昔の映画の雰囲気が感じられる。主演のスティーブ・クーガンとジョン・C・ライリーの2人も熱演していたが、2人の妻役で途中からツアーに参加するのシャーリー・ヘンダーソンとニナ・アリアンダが絶妙のコンビ。2人が登場したところでは、ヘンダーソンは口を動かさずに喋るし、アリアンダはロシア訛り。変な人達かとおもったら二人とも良い奥さんでした。
予告編
2019年に観た映画
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