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映画レビュー

アニーシュ・チャガンティという無名の監督のデビュー作。この映画が注目されたのは、映像を従来のカメラで撮影するという手法ではなく、PCの画面だけを見せることで1本の映画を作ってしまったこと。10年前ならこういう発想は出てこなかっただろうが、今ではPCの画面で写真、動画、メール、ビデオ通話などなど可能なことが飛躍的に増えて、かつその裏側ではSNSや検索エンジンなどオンラインならではのサービスが動いている。

ストーリーはシンプルで、失踪した娘を父親が探すという話。この主人公の妻は病気で亡くなっているが、過去の発病、闘病から回復、再発から亡くなるまでの時系列をその当時のPCとその環境を見せることで時間の経過を見せるようにしているのが面白い。つまり古い記憶はWindows 3.1のPCに保存された写真。それが新しいWindowsやMacintoshへと変わっていき。動画が現れる。通信もモデムでのパソコン通信だったのが、インターネットに変わりWebブラウザが登場しFacebookになってくるという具合。これらは当然ながら、PCの画面の映像で表現できる。

父親が娘のPCやSNSになんとかログインして自分で捜索しようとする際に、Google検索、Instagram、Facebook、Googleマップなどおなじみの画面が出てくるが、こういうのを使っていない年配の人は何をやっているのか分からないかも。

映画の中で、主人公が義弟を疑って問い詰める場面があるが、ここを実写ではなくPCの画面で表示させるために、事前に隠しカメラを仕掛けておくというところがある。これは室内のやりとりをPCの画面に出す苦肉の策だったかもしれないが、撮影した映像を証拠に使おうという意図なので不自然さはない。こういうところは良く考えられている。

一捻りした映像の方に注目が集まるが、ストーリーやシナリオもしっかりしている。サスペンスものとしては犯人の意外性というところでもよくできている。また、SNSなど便利なものが増えた中で、親が娘の交友関係を全く知らなかったなど、家族関係が昔とは違ってきていることを改めて考えさせられる。

予告編

2018年に観た映画

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