今日の映画 - おとなの事情(Perfetti Sconosciuti)

「おとなの事情」のポスター

映画レビュー

登場人物は夫婦3組と独身男1人の合計7人。これに家族が数名加わるが映画の殆どはこの7人だけ。友人同士集まって食事するという設定なので、大半は7人がテーブルに付いた状態で、舞台劇にもできそうなシチュエーション。ここで、各自のスマホに掛かってきた電話、メール、SMSなどを全員に晒すというゲームが始まるという設定。原題の「Perfetti Sconosciuti」は英語だと「Perfect Stranger」、日本語では「赤の他人」というところ。邦題を「おとなの事情」としたのはロマン・ポランスキー監督の「おとなのけんか」を連想させようという意図があったかもしれない。たしかに、少ない出演者による部屋の中での会話劇という点では似ている。

なので、出演者の演技よりも脚本の巧拙でできが決まってしまうタイプの映画。そのせいか、この映画の脚本は4人が手がけている。コメディ仕立てなので、7人それぞれが持っている秘密が順番に明かされていく過程で取り繕ったり、誤魔化そうとするところなど笑えるところも多々あるが、暴露が進むに連れて取り返しがつかない状況へと進んでいく。ただ、この展開はちょっと強引すぎるのんちゃうかなという気がした。

上手いなと思ったのは、ゲームが始まる前の7人の会話の部分。集まった7人で気楽な会話が続く、この会話で互いに突っ込みを入れたりからかったりすることでお互い長年の友達同士であることが観る側にも分かってくる。そこで、スマホのゲームの話になったときにも、ちょっと引いたところを見せると隠し事があるんじゃないかと突っ込まれるので後に引けない状況をお互いに作ってしまうところが、多少強引ではあるが、良くできている。さらに、このゲームが始まるまでの30分くらいの間、会話がほとんど途切れない。7人のうち誰かが話し終えると、それを受けてすぐに他の誰かが喋り始める。7人もの人が居て同時に複数の人がしゃべることがないのはリアリティに欠けるところもあるが、そんなことを考える暇もないくらいに話し続けるので圧倒される感じ。字幕を追うのが大変やけど。

話が進むに連れて、男4人は幼馴染らしいことが分かってくるが、うち2人は整形外科医と弁護士で高学歴、高収入、あとの2人はタクシー運転手と学校の教師の職を失った独身者という対比の上にそれぞれの役柄を作ってあるのもよく考えられている。独身男がなぜか仲間はずれにされていることも後で理由が分かってくる。結局泥沼状態になって、観ている側もなにかしら気が重くなってこのまま終わるかというところで脚本のひねりが入って終了。

この映画のラストをハッピーエンドと言えるかどうかは微妙やけど、隠し事の無い世界も幸せではなさそうと思わせて映画は終わる。教訓は、「このまま進むと危険と思ったら、意地を張ったり体面を気にしたりせず危険回避の選択をすること」。

Trailer

2017年に観た映画

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