映画レビュー
カテゴリーとしては社会派ドラマかつ法廷物。この種の映画は主人公が負けてしまうというのもあるけど、大多数は困難や理不尽な圧力に負けずに頑張って最後に勝利を勝ち取るというパターンが多い。観る側も主人公に肩入れするので最後はスカッと気分爽快。それが法廷での逆転劇をクライマックスに持ってくれば盛り上がる。最後の勝利の前には観ていてはらはらするピンチが大きいほど勝利の感動も大きくなる。そういった古典的な手法を忠実に守った映画といえる。
なので、観ていて予想通りの筋書きにある意味安心感はある。一方で新味がないのが泣き所。実在するアメリカの最高裁判所判事の実話を元にした話なのでそれなりの説得力はあるが、物語としての厚みに欠けるきらいがある。例えば、母親に反抗する娘が父親の一言で聞き分けのよい支援者になってしまうとか、裁判の冒頭陳述で石頭ぶりを見せる判事が、その後の主人公の弁論でコロッと肯定的な判決を下すところなどに不自然さを感じてしまった。今ひとつ、ストーリーと脚本の練り込みが足りないのではないだろうか?
法律が性別による差別を容認していて、それを正さなければならないというテーマには共感できる。50年代から70年代の世相や街の風景などもよく再現されていただけに、もうちょっとなんとかならなかったのかという気がする。
予告編
2019年に観た映画
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