映画レビュー
ヒンdゥー教の聖地「パラナシ」の名前は知っていたが、どこにあるのかを知らなかったので地図を見てみた。場所はインドの北東部、ニューデリーとコルカタのちょうど中間点くらいのろころだった。ヒマラヤを水源とする河川がガンジス川となってベンガル湾へと流れ込む途中の町。ここでは亡くなった人を川べりで火葬にして、灰をガンジス川へ流すということが普通に行われていて、その横では沐浴している人がいるという風景をテレビ番組で見たことがある。
映画では、自分の死期を悟ったと思い込んだ父親が急にパラナシへ行くと言い出して、仕方なく付き添う息子を引き連れパラナシの「解脱の家」と呼ばれる死を待つひとたちの宿へ引っ越す。この父親はご飯も息子に作らせて横暴なのに息子が甲斐甲斐しく世話を焼くのは、昔の日本人を見るような感じ。しかし、「解脱の家」で子供に世話を焼かせているのはこの親子だけだったような・・・
面白かったのは、パラナシへ行くのに、この親子はタクシーを使うところ。日本人の感覚では、遠方に行くなら飛行機か鉄道で、高いタクシーを使うという発想はまずない。ところが、今年に初めてインドへ行ってみた体験からすると、長距離の移動にタクシーを雇って行くのはごく普通で違和感なかった。
映画は多少コメディの香りがするが、派手さはなく、真面目に淡々と話しが進んでいく感じ。そうしているうちに、「解脱の家」の長期滞在者のおばちゃんが解脱する。これで父親が死なんかったらどうなるのか心配になったが、首尾よく解脱する。本人に死ぬ準備ができていないと死ねないというのを否定はしないが、「そうそう都合よくいくこともないのんちゃう」という気はおおいにする。せやけど、まあええか。
歌ったり、踊ったりがないインド映画も悪くない。
予告編
2018年に観た映画
2018年版「今日の映画」のリストはこちら。