映画レビュー
2014年製作のハリウッド版ゴジラ映画「GODZILLA ゴジラ」の続編。前作を観ていないが、ハリウッド製作になった見慣れたゴジラの姿から、頭が小さくて爬虫類ぽい姿に変わったことに賛否両論があったような記憶。前作は「ムートー」という巨大怪獣とゴジラとの戦いだったようだが、本作では、モスラ、ラドン、キングギドラといった過去のゴジラ映画のメインキャラクターが総出演となっている。
この種の映画に完璧なストーリーの組立を求めるのは無理と承知しているが、それにしても脚本はかなり酷い。2014年のゴジラによる街の破壊で息子を失ったラッセル夫妻とその娘が主要な登場人物となるが、かなり支離滅裂。人類による地球の汚染・破壊を止めるために眠っている巨大怪獣を順次に起こしていくというアイデアが練り込まれていないので説得力がないうえに、巨大な力を持っているはずの組織「モナーク」が少数のテロ組織に次々と裏をかかれるとか現実性に乏しい。家族の絆、地球のバランスとその破壊者としての人類などをテーマのように見せているが、いずれも中途半端で薄っぺらい。
目覚めた怪獣が暴れるシーンは派手ではあるが斬新さはない。主要登場人物はかなり危険なところに居てもかすり傷ひとつ負わないし、渡辺謙演じる芹沢博士の最後の花道を作るために魚雷発射装置だけが具合良く故障する。そういうご都合主義には目をつぶるとしても、モスラとラドンを出すからには彼らにも見せ場を作って欲しかった。特にラドンは地球組としてゴジラの味方に付くべきなのに、援護にはいろうとしたモスラの邪魔をするとか存在意義不明。モスラも卵から孵化した後、幼虫の時期をカットしていきなり蛹になるとか、成虫になってからキングギドラに糸を吐くとか、使い方がおかしい。
批判される部分が多いが、良かった部分はオリジナルの東宝版を肯定的に引き継いでいるところ。特に音楽はオリジナルのゴジラのテーマを編曲して使っていたし、エンドロールではモスラの音楽も流れる。ゴジラが休む海底の古代遺跡の壁画には縦書きでゴジラのカタカナの文字がチラッと見えたりする。
次作ではゴジラ対キングコングが企画されているらしいが、う~ん、微妙。
予告編
2019年に観た映画
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