今日の映画 – フューリー （Fury）

ブラッド・ピット主演の戦争映画。 最近は軽めの役が多いし、俳優よりも製作の方に興味あるのかなと思ってたので、正直あんまり期待してなかった。 けど、ブラッド・ピット、頑張ってる、ほんま。

舞台は第二次世界大戦の終盤、連合国がフランスを奪回してドイツ本国へ攻め入った頃。ブラッド・ピット率いる洗車Fury号はアフリカからドイツまで転戦してきて映画の冒頭では全滅した戦車隊の中で唯一生き残って自軍へ戻ってくる。

時間とともに、戦車という乗り物は5人のチームが息を合わせて動かすものだということが分かってくる。必然的に、ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ベーニャ、ジョン・バーンサルの5人だけのシーンが多い。この5人がそれぞれ個性的で、なかなかええ。

シャイア・ラブーフ（バイブル）はトランスフォーマーの役の軽いイメージを持ってたけど、「欲望のバージニア」を経て、この映画でおっさん役もできることを証明した。

戦死した副操縦士兼機関樹士の補充としてメンバーに加わったローガン・ラーマン（マシーン）は、タイピストで銃を撃ったこともないのに前線に配属された役で、当初はなよなよしてたのに映画の終わりでは戦士の顔になってる。

ドイツ軍のタイガー戦車1台と連合国のシャーマン戦車4台との戦車戦は素人目にも迫力あり。このタイガー戦車は動く状態でイギリスに保管されていた1台を撮影に使ったということで、ミリタリーおたくにはたまらんシーンらしい。

映画を通して、敵も見方も民間人もあっけないほど簡単に死んでいく。砲弾がかすって首が飛んだり、焼かれた洗車から火だるまになって飛び出してきたりとか、道端の転がってる死体とか、リアルなだけに戦争の悲惨さが際立つ。昔の戦争映画の人の死に方は綺麗に作られていたなぁと思う。

最後は、Fury1台でドイツ軍のSS大隊300人を相手にして戦うねんけど見ようによっては虐殺の連続。サム・ペキンパーが生きてたら、「やられた」と思うのんちゃうかな。

ちょっとだけあまのじゃく的な見方をすると、最後の戦闘は、偵察機が発見したドイツ軍部隊（偵察機が撃墜されたので人数、装備不明）から要所の十字路を死守するように命令を受けてFury号を含む4台が赴くという設定。せやけど、この時期はドイツの空軍は壊滅していて制空権は連合国が握ってた。映画の中での無数の爆撃機が飛んでるシーンがあったくらい。 ほんなんやったら、弱小の戦車隊で行くより飛行機でまず攻撃するのが筋やと思うねんけど。 まあ、そんなん言うたら映画になれへんしな。

これが最高の戦争映画とは思わんけど、たとえば10年後に過去の戦争映画を振り返った時には名前が挙げられる一本やと思う。

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