映画レビュー
「カメラを止めるな!」以来の日本映画、こんどは時代劇。
監督の木村大作は黒澤明の撮影助手から撮影畑で活躍してきた人らしい。70歳になってから監督を手がけて、この映画が3作目という。雪が降る中での殺陣、馬に乗って並木道を疾駆するシーンなど映像が美しい。特に主演の新兵衛(岡田准一)が旧友采女(西島秀俊)と対峙するときの殺陣は、ちゃんばらというよりも剣術の様式美を見せられたようなインパクトのあるシーン。
岡田准一は殺陣のシーンでは、実際に振るう剣のスピードが段違いに速くて、かつ止まるところでの姿勢が良いので素人目にも剣の達人のように見えて、格好が良い。アクションだけでなく、死を悟った妻との場面や、その妻を巡ってもやもやしたものがあった采女に妻からの手紙を見せられた場面などでの微妙な表情など、思ったよりやるなあという感じ。
一方で、ストーリは今ひとつの感あり。新兵衛が脱藩する原因になった殺人事件の犯人は不明のままで、その切り方から新兵衛、采女を含む道場の四天王の誰かが手を下したらしいというところまでは推理仕立てにしてあるが、落ちがつまらない。
また、藩の実権を握る悪者がテレビドラマの時代劇の悪者然としているのは仕方ないとして、その命令を受けて新兵衛たちを襲う大勢の藩士たちは人格もない「駒」としての描写なのは古い「時代劇」の枠を超えられていないように思ってしまう。
しかし、全体としては十分楽しめる良い映画。
予告編
2018年に観た映画
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