映画レビュー
マーベル・コミック原作の実写映画はスーパーヒーロ単独で主演するものと、アベンジャーズとして総出演するものとが混ざっているが、これは前者のタイプ。主人公のキャプテン・マーベルは初登場。
元々の原作のコミックでのオリジナルのキャプテン・マーベルは男で二代目が女性だったらしいが、映画ではキャプテン・マーベルになる主人公は最初から女性のキャロル(ブリー・ラーソン)になっている。しかも、ローソン博士として地球に潜入していたクリー人の名前が「マー・ベル」だったりしていささかややこしい。
アベンジャーズとの関係については映画の中で明かされるが、要はアベンジャーズ結成前の話で、設立者のフューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が若い姿で登場する。若い頃のサミュエル・L・ジャクソンにそっくりなのでメイクで顔を作ったのかと思ったが、CGで25年分若返らせたらしい。まあ、彼の25年前の映像はいくらでもあるから、今の技術では簡単にできるのかもしれない。また、フューリーが片目になったいきさつも映画の中で明らかになる。
映画のストーリー自体はシンプルで、悪者然としているスクラル人が実は被害者で、善い者に見えたクリー人が実は加害者だったという捻り以外は特にこれということなく話は進む。物語としての面白味はあまりないが、キャロルが落ちてきたビデオショップが今はなきブロックバスターだったり、キャロルとフューリーがポケベルで連絡を取り合うなど小ネタが面白い。
主演のブリー・ラーソンは「ルーム」でのアカデミー主演女優。アカデミー俳優が普通にマーベルのスーパーヒーロ役を演るというところに時代の流れというか、ディズニーの商売の上手さを感じてしまう。その他にも、サミュエル・L・ジャクソンはもちろん、ジュード・ロウ、アネット・ベニングなど一流どころが名を連ねている。でも、一番人気はネコのグースかな。
映画を見終わった感想は、「キャプテン・マーベル、強すぎ、これあかんやろ」。ジャスティス・リーグの中ではスーパーマンがダントツに強いけど、クリプトンという弱点を持っていた。一方、キャプテン・マーベルは、アベンジャーズのスパイダーマン、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、アントマン、ブラックパンサーなどと比べても桁違いに強い感じがして、どうもバランスが良くない。
映画のエンドロールのあとの映像で、間もなく公開される「アベンジャーズ/エンドゲーム」へ続くところがチラッとでるが、映画のポスターにもきっちり生き残りのアベンジャーズに混ざってキャプテン・マーベルが入っている。メンバーが半分になって強敵サノスの前にボロボロ状態のアベンジャーズに強力な助っ人ということになるのだろうが、ちょっと都合良すぎるのんちゃうか? サノスにも誰か応援来るのだろうか? という具合に次の映画へ引っ張るところがディズニーの上手さというかいやらしいところ。
DCのワンダーウーマンに対抗してマーベルも女性の主人公というところだろうが、この映画は、共同監督の一人、共同脚本の二人、音楽担当が女性ということでスタッフにも女性が多い。昨今のハリウッドの潮流に乗った映画といえるかもしれない。
予告編
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