映画レビュー
マーベルのアメコミ原作の映画「アントマン」の2作目。マーベルの中ではアイアンマンを頂点とする元祖アベンジャースが1軍、あとから参加したドクター・ストレンジ、ブラック・パンサー、スパイダーマンあたりが2軍、ガーディアン・オブ・ギャラクシー組とアントマンはギャグ、お笑いの比率が増えて3軍対応という感じ。
この映画でも主人公のスコット(ポール・ラング)がピム博士(マイケル・ダグラス)のキャンディの箱を指して食べてよいかと聞くとダメと言われるという軽薄なやり取りが繰り返されて、それが伏線になっていたりするところが安っぽくてよい。
安っぽいところでは、物質をすり抜ける「ゴースト」を敵役として出しているが、スーツごとすり抜けるし、本人のキャラクターも薄っぺらいところがコミック的。そういうところを含めてアントマンの世界観は前作から変わらないので、これはこれでよい。アクションシーンは驚くようなシーンはないものの、サイズを拡大・縮小できるということで、他のヒーロー物とは一味違ったものになっている。
とまどったのは前作からのストーリーの継続性。映画が始まると、スコットは自宅に軟禁されていて、ピム博士と娘のホープ(エバンジェリン・リリー)は逃走中のようで、状況がわからない。
映画を観終わったあとに調べてみると、マーベルのキャラクターがクロスオーバーする映画は時系列で次のようになっている、
- アントマン
- シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
- アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
- アントマン&ワスプ
ここで「アントマン」の次の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」にもアントマンは登場している。シビル・ウォーはキャプテン・アメリカのシリーズの作品だが、アベンジャーズのメンバーがアイアンマン組とキャプテン・アメリカ組に分裂して戦うという内容。アントマンはここで負け組のキャプテン・アメリカ組に入っていたため、逮捕され投獄、その後自宅での保護観察処分になっていたという訳。
ちなみに、その次の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」ではアベンジャーズの半分が外敵ソノスによって消滅させられるという悲惨な映画になっているが、アントマンは謹慎中という理由でこの映画には出てこない。個別ヒーロー物だけでなく、アベンジャースや、クロスオーバーする他のヒーロー物も観ないと筋が分からないというのはどうかと思わないでもないが、観れば観るほど逃れられなくなってしまうのがマーベルの策略だろう。
だが、本作のラストでアントマンが量子世界から戻ってくると博士たちが居なくなってしまっていたというシーンは「インフィニティ・ウォー」のヒーローの消滅を連想させる。2019年には「インフィニティ・ウォー」の続編、4作目のアベンジャーズが公開されるので、そこでアントマンが活躍しそうな気がする。
予告編
2018年に観た映画
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