Motorola edge 20にカスタムROMを入れる

Motorola edge 20について

この機種は2021年モデルで当初のOSバージョンはAndroid 11。その後Android 13までアップデートが行われたが、アップデートの保証は2023年8月までとなっており、Android 14へのアップデートは提供されない。

この機種を発売当初から約2年間使用したが、Motorolaのスマートフォンは独自のアプリの追加を最小限に抑えてプレーンなAndroidに近い環境で提供されるので使いやすかった。その後、メインのスマートフォンとしてPixel 7aを購入したので第一線からはリタイア。発売から2年を経過したとはいえ、元々がミドルレンジの上の方のバランスのとれたスペックだったので、今でも十分使える。

なぜカスタムROMか?

かつてのスマートフォンはハードウェアとOSの機能追加のスピードが速くて、2年前の製品を使い続けようとするとパフォーマンスの不足を実感したものだが、今では古いハードウェアでもそこそこ使える感じはある。

一方で、OSのアップデートはメーカーにもよるが、Androidでは2年程度で打ち切られたり、中には一度もアップデートされないまま終わってしまうような機種もある。Androidの新しい機能を必要としなければそれでも良いのかもしれないが、問題はセキュリティのアップデートが行われないと安心して使えないこと。

そこで、メーカーのOSアップデートが終了した製品にカスタムROMを入れてみようということになる。

カスタムROMの種類、どれを使うか?

手に入るカスタムROMは何種類かあるが、導入しようとしているデバイスがサポートされている必要がある。一番ポピュラーなカスタムROMは、LineageOSのようなのでサポートされているデバイスを調べてみる。メーカー別だと当然ながらGoogleが鉄板だが、Motorolaもサポートされている機種は多く、LineageOS Wikiによるとedge 20も含まれている。ということで、LineageOSでやってみることにする。

手順のおさらい

  • Step 1: edge 20を最新の状態にアップデートし、必要なデータをバックアップしておく。
  • Step 2: Windows PCの環境つくり。adb、fastbootを使えるようにし、Motorola スマートフォンのドライバをインストールする。
  • Step 3: edge 20のブートローダーをアンロックする。
  • Step 4: Additional Partitionをフラシュする。
  • Step 5: Lineage Recoveryのインストール。
  • Step 6: ファームウェアパーティションの整合性確認。
  • Step 7: LineageOSのインストール。
  • Step 8: Add-onsのインストール。
  • Step 9: 完了

これらの手順は、LineageOS Wikiのインストラクションに準じたもの。edge 20のブートローダーのアンロックに関しては、Motorola Bootloader Unlock公式サイトを参考にした。作業は2024年2月に行っているので、その後の変更などは反映されていない。同様の作業を行われる際には、最新の情報を確認して自己責任で行ってください。

必要なもの

  • Windows PC(Windows 11)
  • PCとスマートフォンを接続するUSBケーブル
  • ROMイメージ (LineageOSのサイトよりダウンロード)

Step 1:事前準備

  • Motorola edge 20のシステムアップデートを確認し、Android13の最新の状態にしておく。edge 20用のLinegeOSはAndroid13のファームウェア用に作られているため。
  • edge 20の「開発者向けオプション」を有効化する (「端末情報」~「ビルド番号」を連続タップ)。
  • edge 20の「OEMロック解除」を有効にする(「システム」~「開発者向けオプション」~「OEMロック解除」をオンにする)。
  • 今後の作業でスマートフォンのデータは消去されるので必要なものをバックアップしておく。
  • LineageOSをインストールした後に、Motorola純正のOS(Stock ROM)に戻したい場合はStock ROMのバックアップを取っておく(⇒ 参考サイト)。今回は戻すことはないので行っていない。

Step 2:環境作り

(PC側)

  • GetHubよりWindows PCで「15 seconds ADB Installer and Updater」をダウンロード。
  • ダウンロードしたファイルを実行して、ADBとfastbootをインストールする。

(edge 20側)

  • 「システム」~「開発者向けオプション」~「USBデバッグ」をオンにする。

(PCとedge 20の接続)

  • USBケーブルで接続する。
  • PCのコマンドプロンプトより「adb devices」実行して「XXXXXXXXXXXX device」という表示が出ることを確認する。「XXXXXXXXXXXX unauthorized」となったときはスマートフォン側の開発者向けオプションがオンになっていないのでチェックする。

Step 3:ブートローダーのアンロック

  • (PC) Motorola Bootloader Unlock公式サイトにアクセスしてMotorola IDでログインする。
  • (PC) 「DEVICE ID AND UNLOCK KEY」の項目の「2. Install the latest Motorola USB Drivers. Get them here.」よりUSBドライバーをダウンロードし、インストールする。
  • (edge 20) 電源ボタンを長押しして再起動。再起動中にボリュームダウンと電源ボタンを長押ししてFastboot Flash modeに切り替える。
  • edge 20とPCをUSBケーブルで接続。
  • (PC) デバイスマネージャーで「Android Devices」~「Motorola ADB Interface」と表示されていることを確認する。表示がなければUSBドライバーが正しくインストールされていないので確認する。
  • (PC) コマンドプロンプトより「fastboot devices」と入力して、「ZY22DPXGP7 fastboot」というような表示になれば正しく接続されている。
  • (PC) コマンドプロンプトより「ffastboot oem get_unlock_data」と入力すると以下のようなDevice IDが表示されるのでこれをコピーし、メモ帳などのエディターをつかって(bootloader)を取り除き、残りの16進数を一続きの文字列に整形してコピーする。

(bootloader) 0A40040192024205#4C4D3556313230
(bootloader) 30373731363031303332323239#BD00
(bootloader) 8A672BA4746C2CE02328A2AC0C39F95
(bootloader) 1A3E5#1F53280002000000000000000
(bootloader) 0000000

  • (PC) この整形したDevice IDをMotorola Bootloader Unlock公式サイトの「Paste the Device ID string into the field below to verify that your device is unlockable:」にペーストして「Can my device be unlocked?」ボタンを押す。
  • (PC) 正しく入力出来ていれば、メーカー保証が無くなるよなどのLegal Agreementが表示されるので、「Yes」を選んで「Request Unlock Key」を押す。
  • 再度、保証が無くなることの確認があり、その後にUnlock Codeがメールで送られてくる。
  • (PC) このUnlock Codeを使って、コマンドプロンプトで「fast boot oem unlock XXXXXXXXXXXXXXXX」と入力。
  • (edge 20) 画面が切り替わって警告が表示され、「DO NOT UNLOCK THE BOOTLOADER」と「UNLOCK THE BOOTLOADWE」の2択のメニューがでるので、ボリュームボタンで「UNLOCK THE BOOTLOADWE」を選び、電源ボタンで確定するとアンロックが実行される。
  • (PC) アンロックが完了すると「(bootloader) Bootloader is unlocked!」と表示される。
  • (PC) コマンドプロンプトから「fastboot reboot」と入力してedge 20を再起動させる。

Step 4: Additional Partitionのフラッシュ

  • (PC) edge 20用のLineageOSのダウンロードサイト(⇒ リンク)より、「dtbo.img」と「vendor_boot.img」をダウンロードする。
  • (edge 20) 再起動し、再起動中にボリュームダウンと電源ボタンを長押ししてFastboot Flash modeに切り替える。
  • (PC) コマンドプロンプトより「fastboot flash dtbo dtbo.img」と「fastboot flash vendor_boot vendor_boot.img」を実行して、ダウンロードしたイメージファイルでフラッシュする。

Step 5: Lineage Recoveryのインストール

  • (PC) edge 20用のLineageOSのダウンロードサイト(⇒ リンク)より、「boot.img」をダウンロードする。
  • (PC) コマンドプロンプトより「fastboot flash boot boot.img」を実行して、ダウンロードしたイメージファイルでフラッシュする。

Step 6: ファームウェアパーティションの整合性確認

  • (PC) ダウンロードサイト(⇒ リンク)より「copy-partitions-20220613-signed.zip」をダウンロードする。
  • (edge 20) メニューから「Recovery」を選択。
  • (edge 20) Recoveryメニューから「Apply Update」~「Apply from ADB」を選択
  • (PC) コマンドプロンプトより「adb -d sideload copy-partitions-20220613-signed.zip」を実行して、ダウンロードしたZIPファイルをサイドロードする。
  • (edge 20) 完了したら「Reboot system now」を選んで再起動する。

Step 7: Recoveryを使ってLineageOSをインストールする

  • (PC) edge 20用のLineageOSのダウンロードサイト(⇒ リンク)より、LineageOS installation packageをダウンロードする。2024年2月28日の時点でのファイルは「lineage-21.0-20240224-nightly-berlin-signed.zip」。
  • (edge 20) 再起動し、再起動中にボリュームダウンと電源ボタンを長押ししてFastboot Flash modeに切り替え、メニューからRecovery Modeに入る。
  • (edge 20) Recovery Menuの「Factory Reset,」~「Format data / factory reset」を選んで内部記憶領域をフォーマットする。
  • (edge 20) Recovery Menuに戻り、「Apply Update」~「Apply from ADB」を選択。
  • (PC) コマンドプロンプトより「adb -d sideload lineage-21.0-20240224-nightly-berlin-signed.zip」を実行して、ダウンロードしたZIPファイルをサイドロードする。
  • (PC) 「serving: ‘lineage-21.0-20240224-nightly-berlin-signed.zip’ (~47%)」で止まってしまうことがあるが、edge 20側で終了していればインストールは成功している。
  • (edge 20) Additional Packageをインストールするために再起動が必要だが再起動するか聞かれるので「Yes」を選んで再起動する。

Step 8:Add-Onsのインストール

  • このステップはLineageOSを起動する前に終える必要があるので注意。
  • ここからGoogle Appsのイメージをダウンロードする。Lineage 21用のファイルは「MindTheGapps-14.0.0-arm64-20240225_232108.zip」。
  • (edge 20) Recovery Menuに戻り、「Apply Update」~「Apply from ADB」を選択。
  • (PC) コマンドプロンプトより「adb -d sideload MindTheGapps-14.0.0-arm64-20240225_232108.zip」を実行して、ダウンロードしたZIPファイルをサイドロードする。
  • (edge 20) 「Signature verification failed, Install anyway?」と聞かれるので「Yes」を選択してインストールを続ける。

Step 9: 完了

  • Recovery Menuから「Reboot System Now」を選んで再起動。

起動時のLineageのロゴはこんな感じ。

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