中古デスクトップPCは思ったより良かった - HP ProDesk 600 G1

HP ProDesk

中古デスクトップPCという選択肢

世の中では個人用PCといえばノートPCというのが一般的かもしれないが、わが家ではフルサイズのキーボードを使って大きな画面で使いたいのでデスクトップPCを使い続けている。最近、新しい用途に1台必要になって、中古のPCを買って手を加えたら意外に良かった。

要求事項

ビデオをキャプチャーしてエンコードする用途を考えていたので、新しいPCに対する要求事項は、

  • CPUパワーはある程度欲しい
  • ハードドライブは2つ以上搭載可能
  • メモリーは8GB以上、拡張性があればなおよい
  • 2台以上のモニターを接続可能
  • 動作が静かなこと
  • 安いこと

逆に、どうでも良いことは

  • ゲームはしないので、グラフィックス性能にはこだわらない
  • 筐体は小さいに越したことはないがタワー型でも可

新品の購入を検討したが…

当初は中古品などには目もくれず、当然のように新品を調査。しかし、なかなか思ったようなモノに巡り会えず。

ちょうどAMDの第3世代のRyzenを搭載した製品が出回り始めたので、このあたりが狙い目かと思ったが、GPU内蔵のRyzen 3 3200Gを搭載したモデルでも価格は6万円前後になってしまう。

そうしているうちに、たまたま目に止まったのが中古デスクトップPC。

HP ProDesk 600 G1 SF

この製品はHPの企業向けデスクトップPC。現在では第4世代の「G4」となっているが、第1世代「G1」が発売されたのは2013年なのでいささか古い。中古で出回っているものにはプロセッサーがCore i7、Core i5、Core i3のものがあるが、古いだけに狙い目は最上位のCore i7一択。搭載メモリ、搭載ハードドライブも何種類かある。

  • Core i7 4770
  • 4GB Memory (DDR3)
  • 1TB Harddrive
  • DVD Multidrive
  • Windows 10 Home
  • Display Port x2、VGA Port
  • USB 3.0

という構成で2万円台からある。

たしかに古い世代のプロセッサーだが、腐ってもCore i7。Ryzen 3 3200GのCPU Mark 7773に対して、Core i7 4770は9783。十分現役でやっていける。

メモリは最新のDDR4ではなくDDR3だが、4GBでは足りないので追加するなら安いDDR3というのも悪くない。トップクラスの性能を求めている訳ではないのだから。

念のため、同じシリーズの中古で1世代新しい2015年発売の「G2」だとプロセッサーも1世代新しいCore i7 6700になる。しかし、4770から6700へ変わることでのCPU Markの変化は9783から10003とさほど大きくないのに、市場価格はグッと上がる。こうしてみると「G1」のお買い得感が際立つ。また、企業で償却が終わったものが出回る時期なのか、市場を流通しているモノが多いようだ。

さっそく買ってみた

Yahooショッピングに出展されていたものを購入。Amazonでも同じ販売店が同額で出展していたが、ポイントの都合上Yahooショッピングにした。注文した翌日に到着。箱の中にあったのは、PC本体、電源ケーブル、手作りの取説と保証の説明などの書類のみ。キーボードとマウスは付属しない。キーボードとマウスは余っているものが手元にあるし、中古のものを使いたいとも思わないので付属しなくてOK。

本体外観

ハードウェア仕様の確認

筐体のカバーはレバーを起こすだけで簡単に開く。カバーをすと手前にDVDドライブとハードドライブ、奥に電源、プロセッサーが見える。内部はほぼ完璧にクリーニングされていて、マザーボードのどこにもホコリは見えない。

内部写真

1TBの7200回転のハードドライブは東芝製だった。HPに限らず、大抵のメーカーは複数のメーカのパーツを並行して使っているので、東芝以外のドライブが使われているものもあるかもしれない。

東芝のドライブ

オプティカルドライブはSATAのスリムラインDVD-RW。

オプティカルドライブ

電源は台湾のメーカLite-on製。240Wなので電力を食うグラボを入れない限りは十分な容量。

電源

CPUのヒートシンクの手前(写真の右側)にはファンが付き、反対側に大きな排気用ダクトが付く。メモリースロットは4本で、うち一つに4GBのDDR3メモリが刺さっている。マザーボードには「hp」のロゴあり。

CPU廻り

HPの同じ型番(698650-154)のメモリーモジュールが手元に1枚あったので比較してみると違う設計。しかし、HPでは同等のものとして扱っているようなので追加で挿してみるとちゃんと認識されて8GBとなった。とりあえず、これで行ってみる。メモリーが足りなければ、まだ空きスロットがあるので8GB(4GB x2)を買い足せば補強できる。

メモリーモジュール

マザーボード上のSATAのコネクタ(中央の青いコネクタ)は4つあり、うち2つが使われている。空きは2つだがSATAケーブルは付属しない。

SATAコネクタ

ドライブのベイは合計4つ、うち上部の2つがハードドライブとオプティカルドライブで使われている。。残りの2つはその下にあるが、シャーシのドライブ収納部分がヒンジで持ち上がる構造になっている。工具不要のこういう構造はHPお手の物。

写真の左側が2.5インチ、右側が3.5インチの空きベイ。SATAケーブルは付属しないが、電源の配線は空きベイまで用意されている。

ドライブべり

HPのドライブベイの特徴は、ネジでドライブをベイに固定するのではなく、ドライブに4本のネジを留めておき、ドライブをベイに滑り込ませれば、ネジの部分でラッチが掛かる方式。工具なしでドライブの取り外しが可能な洗練された方式。ただ、製品に付属するネジがインチネジ5本だけでこの規格にあったミリネジが付属しないのが残念なところ。例えば、SSDを2.5インチベイに取り付けようとするとネジの頭が筒状のミリネジをどこかで調達してこなければならない。いったん設置してしまえば後がらくなのだが、それまでの難易度がやや高い。

3.5インチドライブ

本体の背面。CPUからのエアダクトと電源部分には大きめの開口部が設けられている。PCIスロットは4つ。ただしこれを使う機会はあまりなさそう。

本体背面

外部接続端子類。2つのDisplay PortにUSBポートも2つが3.0対応。シリアルポートやPS/2ポートなど、無くても良さそうなレガシィポートが盛り沢山。全面にもUSBポートが4つとオーディオジャックが付いているのでポート類は充実している。

Windows 8 Proのロゴシールが見えるので、元々はWindows 8 ProがインストールされていたPCと思われる。

ポート類

本体の側面に貼られていたラベル。上のラベルによると、工場出荷時ににはWindows 8 ProではなくてダウングレードしたWindows 7 Proがプリインストールされていた様子。

下のラベルは中古PCとして販売した業者が中古を再生してWindows 10 Homeをインストールするためにマイクロソフトから入手したラベル。ビジネス向けPCにWindows 10 Homeというのは変だと思ったがこれで謎が解けた。OS抜きやライセンスが曖昧なまま中古販売する業者ではなく、きちんと再生している業者であることが分かって安心できる。

OSラベル

起動してみる

電源を投入して起動するとWindows 10 Homeが立ち上がる。メーカー物の新品のPCだと、途中でアカウントの作成などが行われるが、何も入力を求められないまま。

起動画面

ユーザを確かめてみると、「USER」というローカルアカウントが既に作られている。これは少々気持ち悪いので、あとでクリーンインストールを行うことにする。

ユーザアカウント

デバイスの仕様を確認すると、Core i7 4770であることが確認できる。メモリーは4GB追加したので8GBになっている。

デバイス資料

Windows 10はちゃんと認証されている。

Windows 認証

Windows 10をクリーンインストールする

このまま使っても問題ないと思われるが、せっかくなのでWindows 10をクリーンインストールする。詳細は割愛するが、マイクロソフトのサイトにアクセスして、USBメモリーにWindows 10のインストール用メディアを作成する。

あとはこのUSBから起動してハードドライブをフォーマットし、Windows 10をクリーンインストールする。完了すれば、USBを抜いてハードドライブから起動してWindows 10をセットアップするだけ。この際に、すでに他のPCで使っているMicrosoftアカウントでログインすれば、ライセンスが認証される。

実はこのあたりのライセンス認証の仕組みがよく理解できていないのだが、

  • 購入した中古PCには正しくライセンスが付いていた。
  • この特定のPC(Macアドレスなどで判別)がマイクロソフトのサーバで認証済と認知される。
  • クリーンインストールした後に、Microsoftアカウントでログインすると、固有のハードウェア情報とMicrosoftアカウントが紐付けされ、認証される。

という仕組みではないかと想像している。しかし、一連の手続きの後、ライセンスを確認すると、ライセンス認証の文言が変わるのはよいのだが、エディションがなぜかWindows 10 HomeではなくProになっているのが不思議なところ。

ライセンス認証

ハードドライブを増設する

手元に使っていない2TBのドライブがあったので、これを2番めのドライブとして追加する。PC本体に付属するネジをドライブに装着。

追加ドライブ

これをドライブベイに滑り込ませれば、ラッチが掛かって固定される。取り外すには緑のレバーでラッチを外すことができる。先にネジを取り付けておけば工具は必要ないので便利。

ドライブベイ

ドライブ用の電源は配線されているのでコネクタを挿すだけ。SATAケーブルは別途用意しなければならない。写真で使っているSATAケーブルはストレートのコネクタだが、これだとマザーボード付近の他の配線と干渉して無理な力が掛かってしまう。結局、L字型のコネクタのケーブルに好感して事なきを得た。

ドライブの接続

これで一応アップグレードは完成。

まとめ

今回は手元にあるメモリ、ハードドライブを利用したので本体以外の追加コストがほとんど掛かっていないが、新たに購入しても数千円程度。さらに今回は使わなかったが、SSDも安くなって7000円前後で500GBの物が買える。総額4万円程度でCore i7、16GB メモリ、500GB SSD、1TB HDDのデスクトップPCが手に入るなら十分お買い得ではないだろうか?

今回は中古とはいえ、ちゃんとした販売業者から購入したのが結果として良かった。また、外部には細かな擦傷があったものの、内部を含めてきれいに清掃されていて中古品という感じがしなかった。元々のモデルが企業向けのビジネス用で、おそらく大量導入されたリース品ではないかと思う。企業で使われていたPCは一般に通電時間が長いので発熱で劣化するパーツは傷んでいる恐れがあるが、個人所有のPCと違って変な改造、改変が行われていないのが良いところ。

Windowsのライセンス認証は、よく理解できていない部分が残るが、以前のハードウェア構成を大きく変更すると電話での認証が必要になる煩わしさは無くなっているように感じた。とはいえ、中古で購入してバックアップメディアも添付されていなければ、ハードドライブの中のOSのライセンスが拠り所でいきなりフォーマットしてしまうのは勇気が要る。実際には問題なかったが、心配なら元のディスクを保管して新しいディスクにクリーンインストールしたものが認証されるのを確認してから元のディスクを消すなりするのが安心かもしれない。

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