映画レビュー
「T2 トレインスポッティング」が公開中だが、この映画は1996年に作られたその前作。日本でもヒットしたらしいがあいにく観ていなかったので、「T2 トレインスポッティング」を観る前にビデオ鑑賞。20年前の映画なので、観るためにはDVDを購入するか有料のビデオ配信サービス(Netflix、hulu、U-NEXT)などを利用するしか無い。うちではNetflixを契約しているので早速観た次第。
舞台はスコットランドのエディンバラ。4人の若者、マーク・レントン(ユアン・マクレガー)、ベグビー(ロバート・カーライル)、シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)、スパッド(ユエン・ブレムナー)の麻薬漬けの奔放な生き方を独特のカメラタッチで撮った映画。
この映画がユアン・マクレガーの出世作となるが、頭を丸刈りにした若き日のユアン・マクレガーはガリガリに痩せていて見た目もジャンキーというかナチスのゲットーの収容者みたいな風貌。映画の半分くらいは普通にセリフを喋るが、あとの半分くらいはマークが語るという形になっている。
たしかに、ユアン・マクレガーの演技は特筆ものではあるが、それを引き出した監督のダニー・ボイルの手腕に感心した。ダニー・ボイルは「スラムドッグ$ミリオネア」の監督くらいの認識しかなかったが、ベネディクト・カンバーバッチ主演の「ナショナル・シアター・ライヴ 2014 フランケンシュタイン」の演出も行っている人。この映画では、ユアン・マクレガーが便器に入っていくシーンとか赤ん坊が天井を逆さまにハイハイしてくるシーンとか、ヤク中患者が妄想しそうなシュールな映像を撮っている。この映画のほとんどは、散らかった室内やちょっとくたびれた街の風景なのに、ハッとするような綺麗な色使いをする。麻薬の取引場所へ4人が入っていくシーンの人影が動いていくところなんかも秀逸。続編の「T2 トレインスポッティング」への期待が高まる。
ちなみに原題「Trainspotting」の意味は分かりにくいが、「Trainspotter」は「鉄道オタク」の意味。これではなんだか分からないが、エディンバラの北に廃線になった鉄道の操車場があって、そこがヤク中が集って麻薬の売買などが行われる場所になったことから転じて、その地方で麻薬常習者を「鉄道オタク」というようになったということらしい。
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2017年に観た映画
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