今日の映画 – ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)

Bohemian Rhapsody

映画レビュー

ロックバンド「クイーン」の映画。アメリカ、日本を含む全世界でヒットしている。日本はクイーンかまだ駆け出しだった頃に本国イギリスよりも先にファンが付いた国なので、日本でのヒットは想定内というところか。この映画が母国のイギリス映画ではなく、アメリカ資本によるアメリカ映画。そのためという訳でもないだろうが、「売れる」映画にするために周到に考えて作られていると思った。

まず、クイーンというバンドの伝記映画ではなく、フレディ・マーキュリーの伝記映画に仕立てたこと。バンドの顔であるリード・ボーカル、タンザニアでペルシャ系インド人の家庭に生まれたマイノリティ、ゲイでエイズによる死亡など題材には事欠かないのでフレディにフォーカスするのは当然かもしれないが、その分ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの3人が脇役として影が薄くなってしまったのは残念。もう少し他のメンバーの人物像が見えるようにしても良かったのでは? 逆にフレディが隣のビルに別居する妻にスタンドライトの点滅で合図する部分なんかは要らんかったんちゃう。

また、伝記映画風にしているが、映画がドラマティックになるように微妙に史実を改変している。映画の冒頭はライブエイドの当日の朝フレディが目覚めて会場へでかけるところと会場の設営を並行して見せ、いよいよフレディが大観衆を前にしたステージへ浮揚するような躍動感で上がっていくところ。そこから一転して時間はクイーン結成まで巻き戻され、そこからラストのライブエイドの圧巻のライブへと進んでいく。このライブエイドをクライマックスに据える映画構成が成功のポイント。さらにドラマティックにするために、ライブの直前にフレディがメンバーにHIV感染のことを告げたことになっている。ところが、実際の時系列はフレディがHIV感染を知ったのは1987年と言われていて、ライブエイドは1985年と前後が逆になっている。ここらはハリウッド流のご都合主義が見え隠れする。

伝記映画の本物らしさという点では、本人に似た俳優をキャスティングして、些細な動作に至るまで似せる練習をしている。顔はすっぴんだとそれほど似ていなくても顔の骨格が似ていれば本人に近い顔にしてしまうメイキャップの技術には驚かされる。ブライアン・メイがそっくりというのは多くの人が言っている。フレディについては意見が分かれるが、後半の短髪、髭でマッチョな格好はかなり似ていると思う。

音楽は版権を持つメンバーやフレディの遺族の協力を得てオリジナルの音源を使うことができたので問題なし。ブライアンとロジャーを音楽総指揮としてスタッフに名を連ねることで映画に箔をつけるところは抜かりない。映画が始まる前の20世紀フォックスのおなじみの画面で流れるファンファーレがブライアンとロジャーがギターとドラムスで演奏したものに置き換えられているところでファンの心をぐっと掴む。そしてラストの15分近いライブの部分はすばらしい出来栄えで、ここだけでこの映画を観る価値あり。ライブエイドの映像をYouTubeで観たがまるでコピーしたかのように似ている。

クイーンを知らなくても楽しめるが、クイーン好きならこの映画は必見。

予告編

2018年に観た映画

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