映画レビュー
ノーミ・ラパスが一人七役を演る近未来SF。時代背景をかい摘んで説明すると。
- 人口爆発で諸問題が深刻化。
- 技術の進歩で食糧増産が可能となり、食糧問題はなんとか解決。
- ところが増産食料の副次的効果で多産が頻発するように成る。
- 政府は一人っ子政策を維持するために、二人目以降の子供を凍結保存し、将来人口問題が解決したときに解凍することを強制的に実施。
そういう環境で、テレンス(ウイリアム・デフォー)の娘は七つ子の女の子たちを産むがお産で死んでしまう。孫を冬眠させたくなかったおじいちゃんは、医者をだきこんで自宅で7人を育てることにした。
この時点で、犬やネコやあるまいし、7人もお腹におさまらんやろと突っ込みたくなるが、この映画はこんなところでリアリティを追求してはいけない映画。
7人は長女から順にマンデーからサンデーまで曜日が名前。当局に見つかるとマズいので、7人が家から外へ出るのは週に一回、自分の曜日だけというのがおじいちゃんの作ったルール。外に出る時にはカレンという名前で一つの人格を7人で共有する仕組み。
そこから一気に30年が経って、姉妹は同じように暮らしてる。仕事は金融機関勤務。とくに断り無くおじいちゃんはおらんようになってるけど。
ここから後のノーミ・ラパスの七変化が見もの。実際は外出する際のカレンを含めると一人八役。これが一度に出てこられると、名前とキャラクターを覚えるのが大変。火、金、土はすぐに区別がつくようになって、残りもだんだんと分かってくる。このあたりの演じ分けは大したもん。
映画の原題は、「What happened to Monday」。最後に「?」が付いていないので、「マンデーに何が起こったのか?」ではなく「マンデーに起こったこと」。要は、ある月曜日に出かけたマンデーが帰ってこなくて大変なことになっていくという話。
この手の映画では、分かりやすい悪者が必要で、それは一人っ子政策の責任者(グレン・クローズ)。7人兄弟のことを知るが、30年間も隠し通せたことが明らかになると自分の責任になるからという理由で、姉妹を闇に葬ろうとするのでサバイバルを掛けた戦いになる。この責任者は他にも相当なワルで、怖いおばちゃんを演らせたら人後に落ちないグレン・クローズが好演。
出演者だけを見れば、メインにクレジットされている3人は一線級であるが、映画を観てみると、B級映画の香りだらけ。姉妹の眼球でセキュリティをクリアするところがあるが、7人のDNAは同じでも網膜の血管パターンは皆違うやろ、と突っ込みたくなる。さらに、7人で一人の人格を共有するのは、時間の問題で破綻するのは分かりきってるのにとか・・・。しかし、一番B級を感じさせるのは、姉妹を思い切りよく順番に死なせてしまうところ。まあ、人数多いから、ちょっと減ってもええやろという感じ。
それでも映画自体は低予算映画の安っぽさはなく、しっかりと作り込まれている。B級の雰囲気は脚本と演出が意図したもので、それがこの映画ではうまくいっていると思った。
予告編
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