今日の映画 − パレードへようこそ(Pride)

イギリスのサッチャー政権下で炭鉱労働者のストライキを同性愛者の団体が支援するというどう考えてもミスマッチだが実際にあった話。きっかけは炭鉱労働者のストライキに政府や警察から抑圧されている弱者としての共通点を見出した同性愛活動家が支援を申し入れることから始まる。案の定、それぞれの炭鉱組合からは相手にされないが、ウェールズの炭鉱組合の電話を受けた人が同性愛者の団体LGBT(Lesbian, gay, bisexual, and transgender)の「L」をLondonの「L」と勘違いして訪問を受け入れることで妙な友情と一部の人の反発へと進んでいく。

Pride

炭鉱労働者とその家族は、当然ながらLGBTの支援を受け入れて積極的に交流しようとする人たちと、拒絶する人たちに分かれるが、最初は戸惑い敬遠していた人たちも次第に受け入れるようになってくる。このままハッピーエンドとなるかと思ったが、頑なに拒絶する一部の人達が策を弄して受け入れ拒否を決議してしまう。ここらは史実に基づいているだけに都合よくストーリーを作れないところ。

挫折感が漂う中、結末はLGBTのグループがロンドンで参加するパレードに炭鉱労働者がバスを連ねて大挙応援に駆けつけるところで終わる。ちなみに原題の「Pride」は、元はゲイ・パレードと呼ばれていたものが、時代とともにプライド・パレードあるいは単にプライドと呼ばれるようになったもの。

イギリスでは1967年まで同性愛を法律で違法としていて、映画「イミテーション・ゲーム」でもアラン・チューリングが有罪となっている。この映画の舞台となったのは1984年あたりというから同性愛者にとって住みにくい時代であったことは想像できる。HIVが暗い影を投げかけるシーンもあるが、全体を通してはユーモアを交えて前向きな気持にさせてくれる映画。音楽は、QueenやCluture Clubなどイギリスのグループの曲が使われていてこれまた良い。


Trailer


2015年に観た映画一覧

番号 邦題 原題 監督 評価
21 パレードへようこそ Pride Matthew Warchus 3.5
20 ディオールと私 Dior and I Frederic Tcheng 3.0
19 JIMI: 栄光への軌跡 Jimi: All Is by My Side John Ridley 4.0
18 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance) Alejandro Gonzalez Inarritu 4.0
17 インド・オブ・ザ・デッド Go Goa Gone Raj Nidimoru, Krishna D.K. 3.5
16 女神は二度微笑む Kahaani Sujoy Ghosh 4.0
15 パリよ、永遠に Diplomatie Volker Schlondorff 3.0
14 博士と彼女のセオリー The Theory of Everything James Marsh 3.5
13 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 The Imitation Game Morten Tyldum 4.5
12 妻への家路 帰来 張芸謀 4.0
11 シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef Jon Favreau 3.5
10 フォックスキャッチャー Foxcatcher Bennett Miller 3.5
9 アメリカン・スナイパー American Sniper Clint Eastwood 4.0
8 おみおくりの作法 Still Life Uberto Pasolini 3.0
7 エクソダス 神と王 Exodus: Gods and Kings Ridley Scott 3.5
6 ドラフト・デイ Draft Day Ivan Reitman 2.5
5 今日の映画 – 特捜部Q 檻の中の女 Kvinden i buret Mikkel Norgaard 3.0
4 KANO 1931海の向こうの甲子園 KANO 馬志翔 3.5
3 ジミー、野をかける伝説 Jimmy’s Hall Ken Loach 3.5
2 シン・シティ 復讐の女神 Sin City: A Dame to Kill For Robert Rodriguez, Frank Miller 3.5
1 毛皮のヴィーナス Venus in Fur Roman Polanski 4.0
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