今日の映画 − マジック・イン・ムーンライト（Magic in the Moonlight）

ウッディ・アレンは最も好きな監督の一人やけど、前作の「ブルー・ジャスミン」にはがっかり。最新作はどうか、期待半分、心配半分で観に行く。

映画のストーリー自体は単純。30年代の古き良きアメリカ映画のボーイ・ミーツ・ガール物を連想させるようなラブ・ストーリー。ただし、舞台は南仏で登場人物はイギリス人とアメリカ人という設定。南フランスなのに屋外のシーンよりも室内の場面が多く、ウッディ・アレン映画なので台詞が多い。舞台劇にでもできそうな感じ。

アレンは監督をやりながら半分くらいは自分で主演もやってきたけど、さすがに最近は出演は少ない。代わりに主演に据えられた俳優がそれぞれの持ち味を活かしてアレン風の言い回しの台詞を語るとことがアレンとの比較で面白いが、この映画でのコリン・ファースは強烈な皮肉をイギリス人風に連発して笑わせる。

アレン自身がしゃべるとニューヨークのユダヤ人の屈曲したシニカルさが前に出るが、二枚目のコリン・ファースが演るととことん傲慢で鼻持ちならない感じになる。それでいて、憎めないとことはコリン・ファースの持ち味か。

映画の冒頭は、ベルリンでのマジック・ショーのシーンで、フーマンチューのような怪しい中国人に扮したコリン・ファースが舞台から楽屋に戻ってスタッフをこき下ろすところから毒舌は絶好調。コリン・ファースと言えば、BBCテレビでの「高慢と偏見」のダーシー役が出世作で、その後もブリジット・ジョーンズ物でパロディにしているが、この映画でもダーシー役の延長にあるようにも見える。

相方のアメリカ人ソフィー役のエマ・ストーンは最近ではバードマンで娘役で出ていて人気上昇中。すごく美人というわけでもないのに、可愛らしいというところでフィットしている。アレンに気に入られたようで、次回作にも出演が決まっているらしい。

全体の雰囲気にアレンらしさが十分出ている洒落た映画。「ブルー・ジャスミン」から復活していることが確認できて、めでたし、めでたし。

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