前回の「マダム・イン・ニューヨーク」から2本続けてインド映画。しかし、この2本は全くタイプの異なる映画。「マダム~」が劇中に歌や踊りが出てくる典型的なインド映画のスタイルを踏襲しているのに対して、この映画はまるでヨーロッパ映画のような造り。
とはいえ、映画の舞台はインドのムンバイで、ニューヨークを舞台にしてちょっとモダンに撮られた「マダム~」と比べても、コテコテのインドの日常生活が被写体となっている。
映画の冒頭の5分位の映像で紹介されるのがダッバーワーラー。これはムンバイで100年以上続いているという自宅でつくられた弁当を職場へ配達して、空の弁当箱を自宅へ配達するというビジネスに携わる人達のこと。なんでも、約5,000人のダッバーワーラーが居て、彼らが毎日17.5万個の弁当箱を往復で配送しているという。
映像は主婦が作った弁当を一人のダッバーワーラーが自転車で集めに来て集積所へ運び、行き先ごとに仕分けられた弁当たちが箱に入れられて担がれたり、列車に積まれ、手押し車で運ばれて、最後はまた自転車で勤務先に到着、そして個々のデスクまで届けられるところを一連の流れとして写していく。
驚いたことに、各弁当箱には色と記号が記されているだけで、ICタグはおろか文字での行き先も添付されていないという超ローテク、なのに誤配率が600万分の1(調査によっていろいろな数字あり)という信頼性の高さ。う~ん、インド人恐るべし。
映画は、この正確なはずの弁当配送が間違ったことにより、弁当を作る主婦と誤配された弁当を食べた早期退職直前の初老の男との間に弁当箱を介した文通が始まるという筋立てで進んでいく。
双方ともに問題を抱えているこの2人が直接会うことによってハッピーエンドへと繋がっていくのかなと思わせるところもあったけど、最後は突然プツンと来られたようなエンディング。もうちょっと違う終わらせ方もあったんちゃうかなと思う。
あと、これは人によって好き嫌いはあると思うけど、男の方の若い後任者が役柄としては笑いを取る役やけど、ちょっとうるさく感じた。
冒頭に書いた用に、映画の造りはインド映画らしないけど、映像はインドの日常生活を捉えているようで面白い。たとえば、主人公は弁当を食堂に持って行って食べるが、金属の5段重ねくらいの弁当箱をバラして並べた上で、おかずの容器から中身をスプーンで皿に移して、おかずを並べたうえで、手で食べている。器からスプーンで直接食べたらええやんと思うねんけどなぁ。
映画の中では料理のシーンが何度もでてきて美味そうやけど、全部断片的でどういう料理かよう分からんかったのが心残り。
上映館はシネスイッチ銀座。「マダム~」と同時公開中やったんで、お盆休み中なのに人出が多かった。
この映画館はいろんなところと提携してイベントやってることが多い。この日は先着100人までカレー粉がもらえる日だったのでいただいた。
Trailer
番号 | 邦題 | 原題 | 監督 | 評価 |
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1 | ブランカニエベス | Blancanieves | Pablo Berger | 4 |
2 | フォンターナ広場 イタリアの陰謀 | Romanzo di una strage | Marco Tullio Giordana | 3 |
3 | 鑑定士と顔のない依頼人 | The Best Offer | Giuseppe Tornatore | 3 |
4 | オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ | Only Lovers Left Alive | Jim Jarmusch | 4 |
5 | さよなら、アドルフ | Lore | Cate Shortland | 3 |
6 | ROOM237 | Room 237 | Rodney Ascher | 2 |
7 | エレニの帰郷 | The Dust of Time | Theo Angelopoulos | 4 |
8 | アメリカン・ハッスル | American Hustle | David O. Russell | 3.5 |
9 | ウルフ・オブ・ウォールストリート | The Wolf of Wall Street | Martin Scorsese | 4.5 |
10 | 大統領執事の涙 | The Butlerl | Lee Daniels | 3.5 |
11 | エージェント:ライアン | Jack Ryan: Shadow Recruit | Kenneth Branagh | 2.5 |
12 | ダラス・バイヤーズクラブ | Dallas Buyers Club | Jean-Marc Vallee | 4.5 |
13 | MUD – マッド – | Mud | Jeff Nichols | 3.5 |
14 | ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 | Nebraska | Alexander Payne | 3.5 |
15 | それでも夜は明ける | 12 Years a Slave | Steve McQueen | 4 |
16 | LIFE! | The Secret Life of Walter Mitty | Ben Stiller | 3.5 |
17 | ホビット 竜に奪われた王国 | The Hobbit: The Desolation of Smaug | Peter Jackson | 3 |
18 | あなたを抱きしめる日まで | Philomena | Stephen Frears | 3.5 |
19 | ウォルト・ディズニーの約束 | Saving Mr. Banks | John Lee Hancock | 4 |
20 | ブライアン・ウィルソン ソングライター ザ・ビーチ・ボーイズの光と影 | Brian Wilson: Songwriter 1962 – 1969 | Chrome Dreams | 3 |
21 | 8月の家族たち | August: Osage County | John Wells | 4.5 |
22 | アメイジング・スパイダーマン2 | The Amazing Spider-Man 2 | Marc Webb | 3 |
23 | プリズナーズ | Prisoners | Denis Villeneuve | 4 |
24 | ブルー・ジャスミン | Blue Jasmin | Woody Allen | 3.5 |
25 | ダークブラッド | Dark Blood | George Sluizer, | 4 |
26 | ある過去の行方 | Le passé | Asghar Farhadi | 4 |
27 | インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 | Inside Llewyn Davis | The Coen Brothers | 4 |
28 | チョコレートドーナツ | Any Day Now | Travis Fine | 3.5 |
29 | グランド・ブダペスト・ホテル | The Grand Budapest Hotel | Wesley Anderson | 3.5 |
30 | サード・パーソン | Third Person | Paul Haggis | 4 |
31 | her/世界にただひとつの彼女 | Her | Spike Jonze | 2.5 |
32 | ジゴロ・イン・ニューヨーク | Fading Gigolo | John Turturro | 3 |
33 | 複製された男 | Enemy | Denis Villeneuve | 4 |
34 | 黄金のメロディ マッスル・ショールズ | Muscle Shoals | Greg ‘Freddy’ Camalier | 4 |
35 | マダム・イン・ニューヨーク | English Vinglish | Gauri Shinde | 3 |
36 | めぐり逢わせのお弁当 | The Lunchbox | Ritesh Batra | 4 |