今日の映画 – 追想(On Chesil Beach)

On Chesil Beach

映画レビュー

主役はフローレンス(シアーシャ・ローナン)とエドワード(ビリー・ハウル)。舞台は1962年のイギリスで、フローレンスが上流階級、エドワードが労働者階級という設定。労働者階級といってもエドワードの父親は校長先生だったので、教育も受けることが出来た環境。

この2人が核廃絶運動かなんかで知り合って、結婚、Chesil Beachへ新婚旅行。旅行先のホテルでの半日くらいの間に過去の回想シーンが5分毎に挿入される。その後に1973年のシーンが入って、最後は200年に飛んで終わるという構成。

過去の回想シーンでの2人は理想的なカップルに描かれている。それに対して、新婚の2人は落ち着かず、そわそわして、がっついた新郎エドワードが失敗してというくだりは、あわやコメディかと思わせる。結局、新婚6時間で破局を迎えることになるが、二人とも結論を急がんかったらやりなおす余地があったんちゃうという展開。

映画の中では明示的な説明はないが、フローレンスが父親と2人でボートに乗るシーンが2回、フローレンスの父親がエドワードとのテニスの試合に異常な負けん気を発揮して、後から来たフローレンスに怒りを爆発させるシーンが何を意味するのか? フローレンスがエドワードを拒絶したときの過剰な反応から、父親との間に何かがあったのかと思わせる。

もう一つ解釈が難しいのが婚約している時期にフローレンスが牧師に幸せそうに見えない、婚約は取り消すことができると言われたときの取り乱し様。また、エドワードとの婚約を弦楽五重奏の仲間に知らせようとしなかったところにも何かがありそう。エドワードを愛していたのは間違いないとして、2人の階級の違いがどこかに影響していたのかもしれない。

そういうわけで、腑に落ちないところはいくつかあるが、こういう解釈の仕方に悩まされるのもヨーロッパの映画ならでは。

特筆すべきはカメラワーク。特に2人が別れるところで、エドワードを引き止めることができなかったフローレンスが背を向けて歩きだして画面の左に消えていくところは名シーン。

最後に邦題の「追想」は1957年のフィリップ・ノワレとロミー・シュナイダーの名作「追想」と同じタイトル。こういうのは止めてほしい。

予告編

2018年に観た映画

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