イラク戦争に4回従軍して160人以上を射殺した狙撃手、クリス・カイルの自伝が原作。監督はクリント・イーストウッド。
ISISの問題が大きくなってきている時節柄タイムリーな題材ではあるが、戦争映画によくある愛国心を鼓舞するような部分もあれば、戦争によるPTSDなど政府や軍にとってはあまり触れて欲しくないところも描かれている。
映画は非常に良く出来ていてクリント・イーストウッドはもはや巨匠の域に達していると思わせるが、結果としてアカデミー賞の主要な賞を取れなかったのは、こういう2面性のためだったのかもしれない。
主演のブラッドリー・クーパーは、「世界にひとつのプレイブック」のあと、「アメリカン・ハッスル」での間抜けなFBI役、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でのアライグマ型アンドロイドの声の出演とハイテンションな役が続いたが、今回のシリアスな演技で3年連続アカデミー賞にノミネート。この分なら、受賞は近いかもしれない。
映画の中では、イラク戦争で侵攻する米軍がアルカーイダや後のISISとも関係してくるザルカーウィーを捜索するという話で進んでいく。しかし、イラク戦争の時にリアルタイムで報道されていた敵はサダム・フセインで、アメリカはフセイン政権を倒すことを目的としていたように思う。映画ではフセインは全然出てこないので、なんだか都合よく差し替えられているんじゃないかという気がした。
戦争映画は突然攻撃されたりして、危ない目に合うだけでなく、あっさり死んでしまうことも普通に起こるので、映画を観る間もけっこう緊張する。主人公はそういう戦争に4回も行って死地を切り抜けて無事国に帰ってくる。が、結局はPTSDを病んだ元兵士に殺されてしまうという。銃を自由に持てるアメリカは戦場並みに危ないということか。日本は平和でよかったと思う。
Trailer
番号 | 邦題 | 原題 | 監督 | 評価 |
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9 | アメリカン・スナイパー | American Sniper | Clint Eastwood | 4.0 |
8 | おみおくりの作法 | Still Life | Uberto Pasolini | 3.0 |
7 | エクソダス 神と王 | Exodus: Gods and Kings | Ridley Scott | 3.5 |
6 | ドラフト・デイ | Draft Day | Ivan Reitman | 2.5 |
5 | 今日の映画 – 特捜部Q 檻の中の女 | Kvinden i buret | Mikkel Norgaard | 3 |
4 | KANO 1931海の向こうの甲子園 | KANO | 馬志翔 | 3.5 |
3 | ジミー、野をかける伝説 | Jimmy’s Hall | Ken Loach | 3.5 |
2 | シン・シティ 復讐の女神 | Sin City: A Dame to Kill For | Robert Rodriguez, Frank Miller | 3.5 |
1 | 毛皮のヴィーナス | Venus in Fur | Roman Polanski | 4.0 |