映画レビュー
原題の「Whisky Galore」は「ウイスキーがたっぷり」という意味。第二次世界大戦中、物資不足でウイスキーが配給制になっていたスコットランドの離れ小島にウイスキーを満載した貨物船が座礁したことで島で起こるドタバタのコメディ。
1941年に実際に起きたSSポリティシャン号の座礁とそこから運び出されたウイスキーにまつわる隠匿、捜査などの一連の顛末に、郵便局長の2人の娘の結婚の話を加えて膨らませてある。映画では、スコットランド沖のトディー島となっているが、実際の現場はエリスケイという小島。座礁した船にウィスキーがそれこそたんまりとあることが知れ渡ると、エリスケイの島民だけでなく、近隣の島やスコットランド本土からも人が押し寄せて持って帰ったというからスコットランド人のウィスキーへの情熱というか渇望は想像を超えている。
映画では、突然現れた大量のウィスキーに沸き立つ島民の熱狂をハイライトするために、その前の島のウイスキーが枯渇したときの人々の絶望度合いを誇張していて笑いを誘われる。
意外なことに、スコットランドの人口の約16%の宗教はカトリックで、この島の住民も敬虔なカトリック信者。なので、いざ難破船へ出かけようという段になって日付が変わり日曜日になると、安息日だからといって1日我慢するところが妙に新鮮。それでいて、難破船から荷物を持ち出すことは窃盗なのに、天の恵みと都合よく解釈して罪の意識が全くないのもご愛敬。
島民がこぞってウイスキー奪取に動くのに対して、単独でそれを阻止しようとするのがエディ・イザード演じるワゲット大尉。敵役で軍人としての能力や人格にも問題あるように描かれて、どう見てもわき役。出演者のクレジットも郵便局長役のグレゴール・フィッシャーの後。ところが、オリジナルのポスターでは、郵便局長を差し置いて、真ん中にどんと居座っている。イギリスではこの大尉のちょっとバカっぽいところが受けるのだろうか?
予告編
2018年に観た映画
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