今日の映画 – ミケランジェロ・プロジェクト（The Monuments Men）

ナチス・ドイツが略奪してドイツへと持ち帰った美術品の行方を追跡して取り返し、元の持ち主に返すための部隊「Monuments Men」の実話に基づいた話。

監督はジョージ・クルーニーで、自ら主演するだけでなく、制作・脚本も手掛けるという熱の入りよう。ただ、劇場公開は本国で2013年12月の予定だったのが遅れて2014年2月となった。日本公開は2014年秋に予定されていたのに6月になって中止が発表されお蔵入りになったが、なぜか復活して2015年11月に公開されるという紆余曲折をたどっている。

映画の初めで、ジョージ・クルーニーが部隊のメンバーを次々とリクルートしていくところで、出演者の顔と名前を覚えるのが不安になってくるが幸い7人で終わる。形ばっかりの訓練の後、フランスに渡って奪われた美術品を追ってドイツへと向かう訳だが、なぜか2人ずつの組に分かれて別々に行動する。おかげで、登場人物の特定と理解は簡単になったが、現実離れした少人数での行動はリアリティを欠くことになったと思う。

キャストは公開中止とするにはもったいないくらいの豪華版。マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェットなど主役を張れる俳優を揃えている。マット・デイモンはフランスに行く際に「俺のフランス語が役に立つだろう」とうそぶいているが、現地で話すと変なフランス語と指摘されてばかりではあるが、ケイト・ブランシェットから重要な情報を引き出す大事な役。

ビル・マーレイは存在感はあるが、特に重要な役でもなく、遊びで出演しているくらいか？

ケイト・ブランシェットは好きな女優であるし、この映画の演技も良いが、わざわざケイト・ブランシェットを出す必要があるかと思ってしまう。

テレビドラマ、「ダウントン・アビー」のお父さん役をやっていたヒュー・ボネヴィルがイギリス人士官役でメンバーに入っているが、割りと早い頃に死んでしまう。彼が殺されるところを含めて、メンバーの誰かが死ぬシーンでは、それとなく予感させるような造りになっているのは古典的。

第2次世界対戦の陰で、美術品が失われないよう努力した人たちがいたということを知ることができたのは良かった。が、映画としては、今ひとつ盛り上がりに欠けて、スター級の出演者を無駄遣いしたという印象が残ってしまう。

Trailer

2016年に観た映画