今日の映画 – 女と男の観覧車(Wonder Wheel)

Wonder Wheel

映画レビュー

毎年1本ずつコンスタントにマイペースで映画を撮り続けているウッディ・アレンの今年の新作。ウッディ・アレンも今年82歳。若い頃は才能にまかせて監督、主演と張り切っていたが、1999年の「ギター弾きの恋」あたりから、気に入った俳優を招いて自分の脚本で好きなように撮るというスタイルを続けている。

アレンは私生活でいろいろ問題を起こしているが、映画監督としては独自の境地にあるといって良く、出演のオファーを受けて断る俳優は居そうにないから、俳優は選び放題なのではないだろうか? そして、今回選んだのはケイト・ウィンスレットとジャスティン・ティンバーレイク。

主要登場人物は、前夫に自殺されて子連れで再婚したがかつて目指した女優の道に未練があってウエイトレスの現状を受け入れたくないジニー(ケイト・ウィンスレット)。ジニーの再婚相手のハンプティ(ジム・ベルーシ)は、コニーアイランドのメリーゴーランドの仕事をしているが酒で失敗したことがあり、娘はギャングと駆け落ちして縁を切っている。その娘キャロライナ(ジュノー・テンプル)が、ギャングの稼業のことをFBIにチクったために命を狙われて逃げ帰ってくる。さらに、ビーチの監視員をしながら脚本家を目指しているというミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)とジニーが浮気しているという関係。

映画は最初のクレジットと音楽からすでにウッディ・アレンの世界。なので、ウッディ・アレン好きにとっては、まるごと受け入れざるを得ない。老練な監督が、ほとんど趣味のような映画を誰に指図されることなく撮って、出演している俳優が達者であれば大きく外しようがない。

ケイト・ウィンスレットは今年42歳なのでほぼ年齢相当の役。体型はウエストが太めで額や目尻の小じわが目立つが、かつての俳優時代が忘れられずに当時の衣装やアクセサリーを身に着けて現実逃避しているところは「欲望という名の電車」でのヴィヴィアン・リーを思い出した。

俳優としてのジャスティン・ティンバーレイクはソーシャル・ネットワークのチョイ役くらいのイメージしかなかったが、この映画では通しで問題なくやっていた。

ジム・ベルーシは名字からもしやと思ったが、ジョン・ベルーシの弟だった。

脚本もアレンが描き下ろしているだけあって、例えばジニーとハンプティの夫婦喧嘩のセリフなど、辛辣な言葉がポンポン出てくるところなどアレン調。一方で、ハンプティが戻ってきたキャロライナに文句のような恨み節のようなことを延々と話すところや、ジニーが息子に父親や自分の過去についてくどくど話すところなどは映画の観客向けの説明であることが見え見えで、もうすこしなんとかならんかと思った。

あと、特筆すべきは映画の舞台が1950年代のコニーアイランドであること。原題にもなっている観覧車Wonder Wheelや、ジェットコースターなどの遊園地施設はセットで組むには大掛かりすぎるのでCGで作っているのだろうが、ウッディ・アレンもCGの活用するようになったのかと複雑な気持ち。

予告編

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