今日の映画 – マイケル・ムーアの世界侵略のススメ（Where to Invade Next）

マイケル・ムーアの最新作。タイトルに「世界侵略」とあるが、侵略とは全く関係ない。

マイケル・ムーアが外国（主にヨーロッパ諸国）を巡って、その国の有給休暇日数、健康保険、学校給食の内容などを米国の実態と比較して紹介。それぞれの国の優れた制度や習慣、それらのアイデアを「奪って米国へ持って帰る」ことを「侵略」と言っているに過ぎない。

他国と対比することによって米国の現状を批判することは、「ボウリング・フォー・コロンバイン」、「シッコ」などと同様の手法。ただ、この映画では「侵略」という言葉を使うために制服組の人を並べてみたり、訪問先の国々で侵略の証として星条旗を立ててみたりするのは、いささか悪乗りの感あり。

フランスの学校の給食がめちゃくちゃ旨そうで、その割にはコストは大したことがないという事実を映像と共に見せられるとなるほどと思ってしまう。 こういう「えっ、ほんまやのん？」と思わせるようなネタを用意しているところはさすがにマイケル・ムーア。本人が持って行きたい話の結論へと繋がるネタを並べていくので否応なしに用意された結論へ導かれるのは当然ではあるが・・・

この映画を作る意図が、マイケル・ムーアが指摘するところの（侵略した）他国のアイデアを米国へ持ち帰って現状を変えていくことを目指しているならば、残念ながらそんなことが実際に起こりそうな気は全くしない。もし、マイケル・ムーアがそういうことを意図しているならば、滑稽というしかない。

しかし、昨今は米国だけではなく世界のいろいろなところで、変なナショナリズムみたいな風潮が台頭して、人々が内向きになっているように感じる。そういう時だからこそ、視点を広く外に向けることが大事ということであれば、納得・同意できるのだが。

Trailer

2016年に観た映画