今日の映画 – サード・パーソン（Third Person）

監督・脚本のポール・ハギスは「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本を手がけ、「クラッシュ」では作品賞と脚本賞を手にした脚本家出身の監督。

映画は、パリ、ニューヨーク、ローマの３箇所で同時並行で話が進んでいくという、割とよくあるパターン。 なんで、映画の開始からシーンが切り替わっては新しい登場人物が出てくる。 幸い、男も女も割と顔立ちが濃い目の俳優が多いので、なんとか顔と役柄を覚えて付いていける。

３つの話の中心となるのはパリで主人公はリーアム・ニーソン演じる落ち目の作家。クアイ=ガン・ジンもアクション無しの役、ちゃんとできるやん。

映画は脚本家出身の監督らしい凝った造りで正直ややこしい。３つの別々の話が、途中からパリとニューヨークがいきなり地理的な距離を無視して絡み始める。このあたりで３つの話のどれが現実で、どれが作家の創作なのかなという疑問が湧いてくる。

ラストシーンをどう解釈するかも難しい。リーアム・ニーソンとその恋人役のオリビア・ワイルドは現実として、まだ出版していない最新作と思われる内容を古本屋で読んだオリビア・ワイルドが立ち去っていくところは将来の破局を暗示するものと解釈することもできる。

けど、僕としては、パリからラストシーンに繋がるリーアム・ニーソン演じる作家自体が創造物で虚構という解釈を推したい。オリビア・ワイルドがリーアム・ニーソンの日記を勝手に読んで、「自分のことを『彼』と書いている」というようなことを言うシーンがあった。これが映画の中で気が付いた唯一の「Third Person」というタイトルに対するヒントで。自分自身を三人称で書くことで第三者（=Third Person）になっているということなのかなと思った。

あと、３つのシーンがそれぞれ男女+子供という相似形であることや、何度か出てくる台詞「Watch me!」の意味とか、脚本になにか仕掛けはあるのんちゃうかなと思わせる楽しい映画。

Trailer

2014年に観た映画一覧